民俗編 (その一)
 
@ 九星術

 生まれ年の吉凶を占う方法に「九星術」というのもある。その年の本命星に従って、一白、二黒、三ペキ、四緑、五黄、六白、七赤、八白、九紫という。

 その起源は中国にあり、「日本書紀」にある推古天皇の一〇年(六〇二)、百済の僧観勒が日本に伝えた「遁甲の法」にさかのぼる。遁甲の法は、後漢の時代に始まり、易の八卦と、一〜九の数とを結びつけて作り上げられた臆説に基くもので、、一〜九の数字による方陣を「洛書」と呼び、これに八卦および方位が配当されている。
 
A 蓬莱

 蓬莱とは「史記」にも出てくる、東海の中にあるとされた三神山(神仙が住むという)の蓬莱、方丈、瀛州の一つであり、その蓬莱山の形を台の上に作った飾り物。

 平安期には貴族の祝儀や酒宴の装飾用に用いられたが、室町ごろから正月の祝儀用となり、さらに「蓬莱の島台」は蓬莱山にかたどって作った台に、松竹梅、鶴亀、尉姥などを配して、特に結婚などの祝儀の飾り物に用いられた。



B 天狗

 妖怪変化としての「天狗」は、古くから中国にもある。「史記」天官書には、「天狗はその状犬の如く、流星の如き声を発す。その下りて地にとどまるや狗(犬)に類す」とあり、「山海経」にも、「陰山に獣あり、その状は狸の如くして白首、名を天狗という」と見えている。

 中国の別の伝説というか迷信によると、天狗は天上にいる犬で、天狗星といい、いつも日や月を呑み込もうとしており、これを南極星(七福人の一人の寿老人)が見張っている。だが、南極星は何分にも老齢なので、時々居眠りをする。天狗は、この時とばかり日や月を呑み込んでしまう。これが日蝕や月蝕であり、地上の人は鐘や太鼓をたたいて南極星を起こす。南極星は目をさまし、あわてて杖で天狗を打つと、天狗は呑み込んでいた日や月を吐き出す。そこで日蝕や月蝕はやむ、、、というユーモラスな話があるが、日本には、この種の話はなさそうだ。
C 招き猫

 いまでも商家の店頭に「招き猫」が厚い座蒲団を敷いて座っている。中国の「雑録」に、「猫が顔を洗うとき、左手が耳を過ぎれば客が来る」とあり、これがいつしか日本へ入ってきたわけだが、これには二つの異説がある。

 その一つは、、、(工事中)
 



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