1. 機械工程学院
南京理工大学(Nanjing University of Science and Technology、略称南京理工)は、中国国内有数の理工系名門大学であり、その中でも「機械工程学院」は、伝統と革新を併せ持つ看板学部・学院の一つです。中国工業界や製造業界で多くの人材を輩出しているこの学部・学院は、基礎理論から応用技術まで幅広いカリキュラムを揃えています。
- 機械設計製造及び自動化専攻
この専攻は、従来の機械設計・製造分野に自動化や知能化技術を融合した、現代型エンジニアを育成します。CAD/CAM、ロボティクス、スマート工場など最新の知識・スキルを獲得でき、中国のものづくり(製造2025)戦略の中核を担う人材育成が目標です。卒業生は、主要自動車メーカー、重工業、ハイテク分野で活躍しています。 - 工業設計専攻
創造力と実用性を重視した工業設計はプロダクト開発、ユーザーエクスペリエンス、持続可能な素材活用など幅広い領域をカバー。デザイン思考や人体工学なども学び、現代中国の産業デザインをリードする人材として、国内外で高い評価を受けています。 - メカトロニクス工学専攻
機械工学、電子工学、制御工学を融合した先端領域で、スマート機器や自動化装置の開発を目指します。ロボティクス、人工知能、センサー制御など最先端技術に触れながら、理論と実践をバランス良く習得します。 - プロセス装備及び制御工程専攻
プロセス産業(石油化学、食品、医薬品など)の生産装置設計や、制御システムの構築を専門的に学びます。安全性・効率性・環境負荷低減など産業界の要求に応えるため、応用実践力が強調されています。
機械工程学院は、産学連携が活発で、国内外の著名企業や研究機関と多くの共同研究・人材交流を行っています。設備や実験施設も充実し、理論と実務を結びつけられる体制です。卒業生の就職率や大学院進学率が非常に高く、多くが自動車、航空宇宙、エネルギー、精密加工など幅広い分野に進出しています。日本とも製造業分野で交流があり、日系企業への就職も多いです。
2. 電子工程と光電子学院
中国のIT・エレクトロニクス産業の発展に大きく貢献している学部・学院であり、南京理工大学においても高い人気と実績を誇ります。21世紀の電子情報化社会の核心を担う技術者・研究者を育成します。
- 電子情報工学専攻
電子回路、マイクロプロセッサ、デジタル回路などハードウェア領域から、信号処理、映像通信、IoT、組込システムまで幅広く学習します。産業界のメインストリームともいえる分野であり、卒業生は通信会社、電機メーカー、IT企業等に多数進出。 - 通信工学専攻
無線通信、光ファイバー通信、移動通信ネットワーク(5G/6G)、衛星通信など、現代社会を支える情報インフラ技術が学べます。日本の携帯電話・放送・インターネットインフラとも関連が深い最先端分野です。 - 光電子情報工学専攻
レーザー技術、光学通信、光電子材料、画像・信号処理など、フォトニクス時代に必要な理論と応用を学びます。研究開発能力を磨き、半導体・光通信企業や大学・研究機関で活躍する人材を育成します。 - 集積回路設計及び集成システム専攻
マイクロチップ設計、SoC(System on Chip)、半導体製造プロセスなど、高度な集積回路(IC)開発のスキルを身につけます。半導体産業の発展と直結しており、グローバルにニーズの高い専門領域です。
本学院は、国内外のIT・通信企業と共同研究・インターンシップ提携も進んでおり、ハードウェア・ソフトウェア両面の強みを持つ人材を多数輩出しています。
3. コンピュータ科学与工程学院
情報化社会で最も重要度が急上昇している分野であり、南京理工大学の中でも志望者数、入試競争ともにトップクラスです。AI・IoT・ビッグデータなど、最新の技術潮流に直接触れながら実践力を養えます。
- コンピュータ科学と技術専攻
アルゴリズム、プログラミング(C/C++、Python、Java等)、コンピューターアーキテクチャ、オペレーティングシステム、ネットワーク技術を総合的に学習。IT系企業や開発部門、AIエンジニアなど幅広いキャリアパスがあります。 - ソフトウェア工学専攻
大規模システム開発、アプリケーション設計、プロジェクトマネジメント、ソフトウェアテスト(品質保証)など、実社会で活かせる実践的スキルを磨けます。ITサービスやWeb業界、システムインテグレーション企業との結びつきも強いです。 - 情報安全専攻
サイバーセキュリティ、ネットワーク防御、暗号技術、個人情報保護、情報監査など、現代の情報社会が直面するリスクに対応する技術・知識を徹底的に習得します。政府機関やセキュリティ専門企業等への進路も多いです。 - データサイエンスとビッグデータ技術専攻
機械学習、データマイニング、大規模データ解析、AI応用、ビジネスインテリジェンスなど、ビッグデータ時代の最前線分野。クラウド技術や統計モデリングにも対応し、金融、医療、製造、マーケティング等様々な業界でニーズが高い専攻です。
この学院は、実践的なプログラミングプロジェクトや産学連携による課題解決型教育、国内外IT企業との協力による実習・研究活動が活発です。AI・IoT・情報セキュリティ時代を切り拓く本格的な人材を育成します。
4. 化学工程学院
中国の化学工業発展を支える基幹的な学部・学院の一つであり、南京理工大学の理工系分野の中で安定した人気を持ちます。
- 化学工学と技術専攻
石油化学、無機・有機合成、プロセス設計、化学プラント運用、生産管理、環境制御など、化学産業全般の知識・技術を体系的に学びます。卒業生は化学メーカー、エネルギー産業、材料開発等で活躍しています。 - 応用化学専攻
物質・材料開発、医薬品・ファインケミカルズ、一般消費財(化粧品・日用品)の開発にも関連する分野で、基礎化学から応用研究・商品化まで幅広いスキルを養います。 - 材料化学専攻
新素材の開発、合成、評価技術に特化。電子材料、ナノテクノロジー、高分子材料など、次世代産業の基盤を支える専門知識が身につきます。 - バイオエンジニアリング専攻
バイオテクノロジー、遺伝子工学、発酵・食品産業関連技術、環境応用など、生命科学と工学の融合分野をカバー。医薬・健康・環境産業への進路が広がります。
中国の経済成長・産業高度化に伴い、化学工程学院の役割も年々拡大しています。研究施設や産業界との連携が強く、実践力も評価されています。
5. 材料科学と工程学院
材料技術は21世紀の「新しい産業革命」を支える基盤であり、南京理工大学の材料科学と工程学院は最先端材料開発技術に通じた人材を育てています。
- 材料科学と工学専攻
金属材料、セラミックス、ガラス、複合材等、多種多様な材料の特性把握と応用開発を学びます。製造業、重工業、電子産業、医療分野まで幅広い産業で需要の高い知識です。 - 新エネルギー材料とデバイス専攻
太陽電池、燃料電池、蓄電池(バッテリー)など、新エネルギー材料の開発・設計・応用に特化。低炭素社会への転換をリードする分野です。 - 高分子材料と工学専攻
プラスチック、ゴム、繊維、フィルム等の高分子材料開発、合成、加工技術をフォーカス。日中両国の産業基盤に不可欠な分野として注目されています。
本学院は先進的な研究設備を備え、多くの大学院生が世界的な学術大会で発表するなど、研究志向も強いです。
6. 管理と経済学院
文理融合型で経営・経済・情報・工業を一体的に捉え、現代社会の複雑なビジネス現場に対応できる実践的な人材を育成します。日本の大学の経営学部や商学部に該当する学部・学院と言えるでしょう。
- ビジネス管理専攻
マーケティング、企業経営、戦略経営、組織マネジメント、ヒューマンリソース管理等を総合的に学びます。企業の管理職や経営コンサルタントに多くの人材を送り出しています。 - 情報管理と情報システム専攻
現代ビジネスに不可欠なITシステムの企画・運用、データマネジメント、業務効率化のための情報戦略などを学習。DX(デジタルトランスフォーメーション)を牽引する人材を育成します。 - マーケティング専攻
消費者行動、広告戦略、デジタルマーケティング、市場リサーチなどを専門的に学びます。中国のEC市場を中心とした新しい商流にも強い分野です。 - 財務管理専攻
会計、財務分析、企業金融、投資分析、リスク管理など、金融・会計分野の重要スキルを取得。CPA(公認会計士)やCFA(金融アナリスト)等の資格取得もサポートしています。 - 工業工学専攻
生産管理、品質管理、効率化、IE(インダストリアルエンジニアリング)など、工場や生産ラインのオペレーションを改善・最適化します。 - 国際経済と貿易専攻
グローバル経済、貿易政策、国際金融、国際物流、外国語スキル等、中国企業の国際展開を支える人材育成を重視。 - 物流管理専攻
サプライチェーン管理、輸送、在庫管理、ロジスティクス解析など、現代経済の基盤インフラをマネジメントできる即戦力を養成します。
南京理工大学の管理と経済学院は、経済成長著しい中国ならではのダイナミズムを経験できる点で、日本の商学部志望者にも魅力が大きい学部・学院です。
7. 環境と生物工学学院
環境問題やバイオテクノロジーが世界的に注目を集める中、南京理工大学のこの学院では、次世代のサステイナブル社会に不可欠な技術と知識を学べます。
- 環境工学専攻
水処理、大気浄化、土壌修復、エネルギー・循環型社会設計に必要な技術を体系的に学びます。中国における環境保全や都市問題の解決をリードする分野です。 - 生物工学専攻
遺伝子操作、細胞工学、バイオ医薬品、微生物発酵、バイオマス利用等、多様な生物工学技術をカバー。産業応用や新産業創出にも力点が置かれています。 - 食品安全と品質管理専攻
食品衛生管理、食品製造プロセス、品質評価・認証、食品リスク分析など、中国の食品安全確保に関する最新知識と実践力を習得します。
環境技術、バイオテクノロジー、フードテクノロジー分野で国際的に活躍したい方にとって、魅力的な学部・学院です。
8. 理学院
基礎科学分野の教育・研究を担う理学院は、他の応用系学部・学院にも幅広い専門知識を提供し、複合領域人材を支えています。
- 応用物理学専攻
物理学の基礎理論から応用技術(半導体物理、電子デバイス、量子技術等)まで幅広く学べます。エレクトロニクス、先端材料分野で役立つスキルです。 - 数学と応用数学専攻
微分積分、統計、数理解析、応用数理モデリング、金融工学等、理論力と現代問題解決力をバランス良く養成します。 - 情報と計算科学専攻
データ解析、アルゴリズム設計、計算機科学基礎、シミュレーション技術など、IT分野にも進路が広がる内容となっております。
理学院は、多様な研究グループが存在し、各分野の基礎研究から産業応用への橋渡し人材を育成しています。
9. 外国語学院
グローバル社会に対応した語学力・国際理解力を養成する学部・学院。日中交流・留学に興味のある方にも特にお勧めです。
- 英語専攻
英語運用能力(スピーキング・リスニング・リーディング・ライティング)の強化に加え、異文化コミュニケーション、翻訳・通訳、国際ビジネス英語等も学べます。 - 日本語専攻
基礎から上級レベルまで体系的に日本語を学び、日本の社会、文化、経済、ビジネスマナーについても深く理解。日本企業・中国企業間の橋渡し役として需要が高まっています。 - ドイツ語専攻
ドイツ語圏の言語運用能力に加え、欧州文化・ビジネス交流に対応するカリキュラムです。 - フランス語専攻
フランス語能力向上とともに、フランス語圏の文化・社会理解、通訳・翻訳能力も高めます。
外国語学院は、日本・欧州などの大学や企業と交流が盛んで、海外派遣・インターンシップ機会も豊富です。
10. デザイン芸術とメディア学院
現代社会で急成長を続けるクリエイティブ産業・デジタルメディア分野を担う新しい学部・学院です。
- 視覚伝達デザイン専攻
グラフィックデザイン、広告、ブランドロゴ、パッケージデザイン、インフォグラフィックなど、情報をわかりやすく伝達するビジュアルコミュニケーション分野にフォーカスします。 - プロダクトデザイン専攻
家電、工業製品、パブリックファニチャー等のデザインを中心に、製造プロセスと統合的に考える課題解決型教育が特徴。 - 環境デザイン専攻
都市空間、公共建築、ランドスケープ、インテリアデザインまで、空間設計の理論と実技力を高められます。 - デジタルメディアアート専攻
CG、アニメーション、インタラクティブメディア、ウェブデザイン、バーチャルリアリティ等、新時代の芸術表現手段を学びます。
現代中国のコンテンツ産業やメディア業界への高い就職率も特徴です。
11. 公共管理学院
国家・地方自治体、NPO、企業のCSR、社会保障など社会全体の仕組みに関わる知識とマネジメント力を養成します。
- 行政管理専攻
政策形成、公務員試験対策、公共サービス、危機管理、国家資格取得に直結する分野です。 - 労働と社会保障専攻
年金・保険・雇用政策・福利厚生等の制度設計や運用について深く理解します。 - 人文社会科学専攻
社会学、文化人類学、倫理学、現代中国の社会問題など、広域な人文社会分野をカバーします。
中国の急速な社会変革を捉える視点を持てる学部・学院です。
12. 軍事科学と技術学院
南京理工大学の特色ある学部・学院であり、中国の防衛・兵器産業に密接に連携しています。
- 兵器科学と工程専攻
兵器設計、兵器材料、システム工学、力学解析等、軍事技術の理論と応用を体系的に学びます。 - 弾薬工学と爆破技術専攻
爆薬・火薬の合成、設計、安全管理、各種爆破技術、爆薬応用産業(鉱山開発・インフラ)等に特化しています。 - 火工品工学専攻
発煙剤・発光剤・花火等の特殊用途材料の開発・応用などを学びます。
この分野は産官学連携が非常に密接で、特別研究プロジェクトも活発です。
13. 建築学院
都市開発と持続可能な社会づくりに対応する設計技術者・都市計画専門家を育成します。
- 建築学専攻
建築設計理論、都市建築デザイン、歴史的建造物保存、建築美学など総合的に学び、日本の建築界とも交流があります。 - 都市と田園計画専攻
都市化と環境調和、スマートシティ、都市インフラ設計、田園振興など地域発展に貢献する専門力を養成します。
14. 法学院
社会正義と法治社会の確立を支える法曹・リーガル人材を育成する学部・学院です。
- 法学専攻
中国法体系、国際法、商法、民法、経済法、法哲学など幅広いリーガルスタディーズを提供しています。
15. 体育部
心身の健康管理・スポーツ教育・生涯スポーツ社会の形成に貢献する教育を行っています。
- 体育専攻
体育学の基礎、健康科学、スポーツ教育、運動生理学、トレーニングマネジメントなど多面的に学びます。
南京理工大学は、理系を中心としながらも人文・社会・芸術系を幅広く備え、現代中国の発展を担う多様な人材を育成しています。各学部・学院は産業・社会の最新ニーズに応えられるカリキュラム設計や、グローバルな視野に立った教育・研究体制が特徴です。日中両国の交流にも貢献できる大学として、日本人留学生にも非常に魅力ある大学です。