1. 医学部
廣西醫科大学の中核である医学部は、その専門性と実践重視の教育方針によって、中国南部における医学教育の一大拠点として高い評価を受けています。臨床の現場で必要とされる知識と技能を身に付けることに重点を置き、カリキュラムは基礎医学から臨床医学、専門分野まで網羅しています。下記のような多様な専攻が開設されており、各専攻は医療現場に直結した教育と研究を追求しています。
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臨床医学専攻
臨床医学専攻は、患者診療に必要な基礎知識と実践技能をバランス良く養うことに焦点を当てた専攻であり、基礎科学から内科・外科・小児科・産婦人科など広範な診療分野を網羅しています。臨床実習の機会も豊富で、附属病院や連携病院での実体験を通じ、医師国家試験や医療現場に求められる総合力を身に付けることができます。 -
麻酔学専攻
麻酔学専攻では、手術や疼痛管理に不可欠な麻酔の理論と技術を集中的に学びます。患者の安全管理、麻酔薬の選択、各種手術に対応した麻酔技術、術中・術後のケアなど、臨床医として実践的な力を養います。 -
精神医学専攻
精神医学専攻では、精神疾患の診断と治療、予防、リハビリテーションと社会復帰を専門として教育・研究が行われます。実際に患者とのコミュニケーションを重視し、心理療法や薬物治療など幅広いアプローチを学ぶことができます。 -
リハビリテーション医学専攻
リハビリテーション医学専攻は、疾病や事故で障害を負った患者の機能回復・社会復帰を目指し、リハビリ技術や運動療法、作業療法、物理療法など総合的なリハビリテーションを学びます。 -
放射線医学専攻
放射線医学専攻では、診断・治療両面におけるX線・CT・MRIなどの画像診断技術だけでなく、放射線治療、核医学の基礎と応用についても学びます。画像解析能力や最新の医用機器に対応した知見を養います。 -
外科学専攻
外科学専攻は、外科手術手技、術前・術後管理、外傷や急性疾患への対応など、外科臨床全般にわたって体系的に学修します。実習・研修の経験を重視し、より専門性の高い外科分野(消化器、心臓血管、整形外科など)への進路も広がります。 -
内科学専攻
内科学専攻では、多岐にわたる内科疾患(循環器、呼吸器、消化器、内分泌、腎臓等)についての診断・治療を中心に、患者ごとに異なる病態への対応力を身に付けます。臨床実践で活躍できる医師の育成を目指します。 -
小児科学専攻
小児科学専攻は、新生児から思春期までの小児の疾病、成長・発達、予防医療、小児救急など幅広い分野を担います。子どもとその家族へのトータルケアを重視します。 -
婦人科学・産科学専攻
婦人科学・産科学専攻は、女性の健康全般、特に妊娠・出産・婦人科疾患の診断・治療に必要な専門知識と技術を学びます。母子医療や生殖医学、女性のライフサイクルに寄り添うケアも重要なテーマです。 -
神経病学専攻
神経病学専攻では、中枢・末梢神経系の疾患(脳卒中、てんかん、認知症、パーキンソン病、筋疾患など)に関する専門知識を深め、診断および治療法の習得を重視した教育・研究が行われます。
2. 口腔医学部
口腔医学部は、中国でも有数の歯科医師養成機関として、先進的な口腔医療技術の教育・研究で知られています。口腔・歯科領域全般をカバーし、口腔疾患の診断・予防・治療から、美容・再建分野までさまざまな視点を持つ歯科医療人材の育成を目指しています。
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口腔医学専攻
歯科医学の全般的な基礎理論と臨床技能を総合的に学び、歯科診療をはじめ、予防歯科、地域歯科医療、口腔保健活動などの分野でも活躍できる専門職を育成します。 -
口腔修復学専攻
歯の機能回復・審美修復に焦点を当て、インプラント、クラウン、ブリッジ、義歯などの最新修復技術を学びます。患者の多様なニーズに対応する力を磨きます。 -
口腔頜面外科学専攻
顎顔面領域の外科治療、事故や腫瘍による顔面損傷の再建、正顎手術、顎関節症など幅広い外科的手技を学修し、難易度の高い口腔外科手術にも対応できます。 -
口腔内科学専攻
口腔内の疾患(虫歯、歯周病、口腔粘膜疾患など)の診断・治療に関する専門知識を深めます。病気の予防や早期発見、健康な口腔環境の維持にも注力します。
3. 公衆衛生学院
公衆衛生学院は、現代社会に不可欠な予防医学、健康増進、社会的医療制度の構築に貢献する専門家を育てる代表的存在です。地域社会の健康増進と保健医療サービスの底上げを目標とするこの学院は、幅広い専門分野の専攻を開設しています。
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予防医学専攻
疾病予防、健康増進、公衆衛生計画、健康教育、感染症対策など、地域および国レベルの健康管理に関する総合的知識・技能を学びます。 -
疫学専攻
疫学研究の理論から実践まで、データ解析能力、疫学的調査設計、リスク評価、疾病発生のメカニズム等を専門的に習得し、保健政策策定にも寄与します。 -
衛生統計学専攻
医療・健康に関する統計手法、疫学データの解析、医療情報システムの設計・運用など、データサイエンスの視点から医療・保健の意思決定に関わる学修が行われます。 -
健康管理専攻
個人及び集団の健康状態を評価・維持・向上させるための理論・技術の習得を目指し、健康指導や健康プログラムの運営、病気の早期発見活動にも携わります。 -
職業衛生学専攻
産業・労働現場での安全衛生管理、有害要因の評価、作業環境の健康リスク管理、職業病の予防と治療などについて専門的知識を深めます。 -
環境衛生学専攻
環境汚染、食品衛生、水質改善、大気管理など環境と健康の関連に着目した知識と技術を学び、持続可能な社会の実現に寄与します。
4. 薬学部
薬学部は医学部と並んで医学研究・薬剤研究の拠点として、医薬品の開発、機能解析、臨床応用を重点的に学べる環境が整っています。医薬と生命科学を架橋する人材の育成を目指し、実験研究や臨床応用に力を入れています。
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薬学専攻
薬剤師になるための必須科目を包括し、薬品の設計・製造・販売・使用・管理など、医療現場を総合的に支える薬学全般を深く学びます。 -
薬物化学専攻
薬品の成分解析、新薬開発、医薬品の品質管理、合成方法など、最先端の薬剤化学技術とその基礎理論を体系的に習得します。 -
臨床薬学専攻
医薬品の臨床応用、安全性評価、薬物治療管理、医療チームにおける薬剤師の役割など、患者中心の実践薬学を追求します。 -
生薬学専攻
漢方薬、天然薬物の有効成分解析・調製・応用技術の教育研究を展開し、伝統と先端科学を融合した薬学の専門性を高めます。 -
薬剤学専攻
薬剤の製剤設計、投与経路、放出制御、薬効安定性など、薬剤学の核心をなす内容に取り組みます。
5. 看護学院
看護学院は、医学部と連携して、看護師はもちろん、専門性の高い医療現場で活躍できる高度看護職の養成にも積極的に取り組んでいます。基礎から実践的な臨床看護まで幅広い教育カリキュラムを提供しており、医療現場の多様なニーズに対応しています。
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看護学専攻
基礎的な看護理論と技術、患者ケア、保健活動、医療コミュニケーションを総合的に習得し、あらゆる医療分野で活躍する看護師を目指せます。 -
臨床看護学専攻
医療現場における基礎看護から高度な専門看護・救急看護への発展的学修が行われ、現場対応能力を強化します。 -
管理看護学専攻
看護現場のマネジメント、リーダーシップ、チーム医療のコーディネーション、人材育成など、管理職としての視点とスキルを養います。 -
女性・小児看護学専攻
妊娠・出産期の女性、小児・思春期の健康管理とケア、家族看護など、特定の対象者に特化した専門看護分野を学びます。
6. 基礎医学院
基礎医学院は、臨床医療や薬学研究の基盤となる生物・化学・物理の知識と実験技術を習得する機関です。医学研究の最前線で活躍できる基礎研究人材の輩出を目標としています。
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生物医学専攻
人体の構造・機能、病気の発生機序、遺伝子・細胞・分子レベルの研究を幅広く学びます。 -
生理学専攻
人体各組織や臓器の生理的機能や調整機構を基礎から応用まで系統的に学修し、疾患メカニズムの解明に役立てます。 -
生化学専攻
タンパク質、核酸、脂質、糖質など生命を構成する分子の働きや代謝、疾病との関連性に焦点を当てています。 -
病理学専攻
各種疾患の原因・発生メカニズム・診断法・治療法、細胞・組織レベルの異常を中心に研究・教育が進められています。 -
基礎薬理学専攻
薬剤の作用機序、安全性、生体反応など薬理学の基礎を徹底的に学びます。
7. 生命科学研究院
生命科学研究院は、分子生物学をはじめとする先端生命科学分野の研究拠点です。学際的な視点を持ち、医学、薬学、基礎科学と連携しながら、生命現象の本質的な解明に取り組んでいます。
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分子生物学専攻
遺伝子構造、タンパク質機能、細胞シグナリング分子、疾患関連因子など、最新の分子レベル研究に挑みます。 -
遺伝学専攻
ヒト遺伝疾患のメカニズム解明、遺伝子診断・治療など、医療への遺伝学的応用を中心に学修します。 -
細胞生物学専攻
細胞機能、細胞内構造、細胞分化・増殖メカニズムなど、医学生命科学の根幹に迫る学問分野です。
8. 人文学与社会科学学院
この学院は、医療と人文科学、社会学の融合による多様な視点の医療人材育成を目指しています。医学のみならず、心理学や倫理学、社会的側面を学ぶことで、より深い医療理解を育みます。
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医学心理学専攻
患者および医療従事者の心理的健康、ストレスマネジメント、コミュニケーション、カウンセリング技術などを幅広く学びます。 -
医学倫理学専攻
医療現場での倫理的諸問題、生命倫理、医師−患者関係、患者の権利等に関する理論と実践を学びます。 -
医療社会学専攻
医療制度、医療サービス、社会保障、健康社会学、医療政策など社会的側面からの医療研究を展開します。
9. 国際教育学院
国際教育学院では、海外留学生への医学教育や国際共同教育プログラムを推進しています。英語による医学・薬学・看護学コースを開設し、国際的なキャリアを目指す学生へのサポートにも注力しています。
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臨床医学(英語授業)専攻
国際的な臨床医養成を目指し、全課程を英語で提供。海外からの多様な学生とともに、グローバルな視点を育てます。 -
薬学(英語授業)専攻
国際的な薬剤師・医薬研究者を志す学生向けに、授業はすべて英語で行われ、最先端の薬学知識と実務能力の向上を目指します。 -
看護学(英語授業)専攻
世界標準の看護教育課程を英語で履修し、国際看護資格や多文化看護への対応力を身に付けます。
10. 継続教育学院
継続教育学院は、社会人や職業人を対象に多様な再教育プログラムを展開しています。生涯学習の推進により、医療業界全体のレベルアップを目指しています。
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成人教育専攻
医療・保健福祉分野で働く社会人、現職医療従事者向けの再教育やスキルアッププログラムを実施しています。 -
職業技術教育専攻
医療事務や健康指導員など、専門技術者の養成をテーマとしています。
11. マルクス主義学院
マルクス主義学院は、中華人民共和国の高等教育機関において必須とされるマルクス主義思想の教育・研究を専門としています。思想教育倫理を基盤に、医学生をはじめ全学生の社会的責任意識や価値観形成をサポートします。
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思想政治教育専攻
社会主義核心価値観、倫理観、現代中国社会の政治理論、政策の学習に重点を置いています。 -
基礎マルクス主義理論専攻
マルクス主義・レーニン主義の基礎理論、発展史、その現代的意義について研究します。
廣西醫科大学は、臨床医学・薬学・看護学・公衆衛生など、医療系学部・学院の幅広い分野で専門教育を提供しています。それぞれの学部・学院は、理論と実践の両輪を重視したカリキュラム、先端的な研究環境、附属病院など現場での実践機会の多さが特徴です。これにより、今後ますます複雑化・高度化する医療現場で活躍できる人材育成が期待されます。また、グローバル化を見据えた英語コースや生涯学習等にも対応し、現代医学教育のモデル校とも言える大学です。日本からの留学や国際交流も活発であり、今後ますます注目を集める医科大学といえるでしょう。
