中国東北地方にある長春は、歴史と映画の魅力がぎゅっと詰まった街です。もし中国旅行でちょっと一味違う体験をしたいなら、長春の名所「長影旧址博物館(長春映画旧址博物館)」は見逃せません。この博物館は、まるで映画の世界に入り込んだような体験ができる場所です。映画好きはもちろん、文化や歴史に興味のある方にもぴったり。この記事では、長春と長影旧址博物館の魅力をたっぷりご紹介します。中国の映画の歴史に触れながら、美味しいグルメや周辺観光スポットもチェックして、あなたの次の旅の参考にしてみてください!
1. 長春ってどんな街?
長春の基本情報
長春(ちょうしゅん)は、中国の吉林省の省都であり、中国東北地方の中心都市のひとつです。人口はおよそ900万人と、かなり大きな街です。北京や上海ほど有名ではないものの、中国内陸の重要な工業都市であり、自動車産業が特に発展しています。四季がしっかり感じられ、冬は厳しい寒さで雪景色も美しいです。
長春市内には多くの大学もあるため、若者が多く活気のある雰囲気が特徴的。街の中央には広々とした公園や街路樹が並び、近代的なビルと歴史的建物が融合した景観を楽しめます。中国旅行デビューの方にも過ごしやすい都市の一つです。
また、長春は日本や朝鮮半島とも歴史的につながりが深い場所。このため、さまざまな文化が交錯した独特の空気感があります。他の中国の大都市に比べて観光客が少なく、落ち着いた旅行を楽しみたい人には穴場といえるでしょう。
歴史と発展の歩み
長春の歴史を語る上で欠かせないのが、20世紀初頭の「満州国」時代。その頃「新京」と呼ばれ、日本が築いた満州国の首都となりました。今も市内には当時の建物や街並みが多く残り、歴史ファンにはたまらないスポットが点在しています。
戦後になると、長春は中国の重工業都市へと急速に発展していきました。特に自動車工業の中心地として名を馳せ、「中国自動車の都」とも呼ばれます。現在では医療、IT、エンターテインメントの分野でも発展し、多様な産業都市として栄えています。
最近では、都市開発が進み、交通インフラもどんどん便利になっています。地下鉄やバスも発展しているので、観光客にとっても街歩きしやすい環境が整っています。それでも、歴史建築や古い街並みはしっかり残っているので、「新しさ」と「レトロ感」の両方を味わえます。
観光の魅力スポット紹介
長春には、映画好きなら外せない「長影旧址博物館」をはじめ、「偽満皇宮博物院(旧満州国皇帝の宮殿)」や、「南湖公園」など魅力的なスポットがたくさんあります。市内中心部の「文化広場」も市民の憩いの場。四季折々の景色が美しいので、散歩にもピッタリです。
もし歴史を感じたいなら、「伪満皇宮博物院」がおすすめ。ここでは、溥儀が暮らしていた当時のままの建物や調度品を見ることができます。また、近代的なショッピングモールや映画館も市内に点在しているため、観光の合間にご当地グルメや買い物も楽しめます。
また、少し市街地から足を伸ばせば、「動植物園」や広大な自然景観が広がる郊外エリアも人気です。気軽な日帰り小旅行から、歴史とロマンを感じる街歩きまで、長春ならではの楽しみ方がいっぱいです。
2. 長影旧址博物館とは?
博物館の誕生ストーリー
長影旧址博物館(長春映画旧址博物館)は、かつての中国初の国営映画スタジオ「長春映画製作所」の跡地に建てられています。この映画製作所は、1945年に設立され、長い歴史の中で無数の中国映画の名作がここから生み出されました。中国映画界の伝説が息づく、まさに映画ファンの聖地です。
この場所の始まりをさかのぼると、満州国時代に設立された「満洲映画協会(通称:満映)」が前身です。戦後、長春映画製作所へと引き継がれ、中国初の国産カラー映画など、多くの歴史的映画が誕生しました。中国映画の“ゆりかご”とも言われる所以ですね。
2005年に旧スタジオエリアが「長影旧址博物館」としてリニューアルオープンしました。当時使われていた撮影所や小道具をそのまま展示し、来場者が“映画の時代”を五感で感じられるよう工夫されています。映画の歴史と文化を伝える大切なランドマークとして、高い人気を誇っています。
中国映画とのつながり
長影旧址博物館の最大の特徴は、中国映画の黄金時代と深く結びついていることです。ここからは、「林則徐」や「小兵張嘎」など多くの社会主義リアリズム作品や現代映画が撮影され、中国映画界の発展を大きくリードしました。多くの映画監督やスター俳優も、この場所から巣立っています。
館内では、当時のメイキング写真や俳優たちの直筆サイン、実際に使われた脚本や台本など、貴重な資料も多数展示されています。映画作りの裏側や、中国の政治的・社会的変遷と映画との深い関わりを肌で感じられるでしょう。
また、博物館では中国映画史にまつわる企画展や記念イベントもたびたび行われます。来館者が実際の映画制作現場に迷い込んだような体験をできるのは、この博物館の大きな魅力のひとつです。
アクセスと行き方ガイド
長影旧址博物館へのアクセスはとても簡単。長春市の中心部から車やタクシーでおよそ20分ほど、または市内バスや地下鉄を利用すれば、最寄りの駅(たとえば地下鉄1号線「文化広場駅」)から徒歩で10〜15分くらいで到着します。市内観光コースの途中にも立ち寄りやすい立地です。
地下鉄やバスの路線図は日本人にもわかりやすい表示が多く、路線アプリも充実しているため、初めての方でも安心して利用できます。市内のタクシーは初乗り料金も日本より割安で、数人でシェアすればコスパも抜群です。
入り口やチケットカウンターの案内は多言語表記があり、日本語のパンフレットなども入手できる場合が多いので、中国語に自信がなくても安心です。観光案内所やホテルのフロントでアクセス方法を尋ねるのもおすすめです。
3. 見どころ
旧撮影所のレトロな雰囲気
長影旧址博物館に足を踏み入れると、まず感じるのが「タイムスリップ」したかのようなレトロな雰囲気です。かつて映画撮影の最前線だったスタジオセットや機材、ヴィンテージな外観の建物など、昭和の映画村ともどこか共通する“味”があります。映画製作所として栄えた当時の空気感がそのまま残っています。
施設内の通路や中庭には、昔の撮影所特有の煉瓦造りの建物や古いポスターがずらり。照明やカメラ、レール付きの撮影用車両などもリアルに展示されていて、映画ファンならワクワクが止まりません。当時そのままのセットやインテリアを生かした展示は、ノスタルジックな写真スポットにもぴったりです。
さらに、いたるところに「ここで有名な映画が撮られた!」というパネルや紹介看板が並んでいて、歩いて回るだけで中国映画史の1ページをめぐるよう。館内スタッフが当時の衣装で案内してくれることもあり、まさに“映画のワンダーランド”です。
有名なロケセットと実際の撮影体験
博物館内最大の見どころのひとつは、有名映画の撮影に使われた実物セットがそのまま保存・公開されていることです。どこかで見たことがあるクラシックな部屋やオフィス、街並みなど、映画のワンシーンにそっくりな空間がリアルに再現されています。
特に印象的なのは、当時の中国映画の代表的なシーンを再現したスタジオ。実際の映画スタッフになりきって、小道具を手に持ちながらフォト撮影ができる体験コーナーも大人気。バックヤードには撮影用の照明や録音機材、クラシックなカメラも展示されており、「映画作りってこうだったんだ!」と感動できるはずです。
また、時期によってはミニドラマ撮影ワークショップや、観光客参加型の簡単な撮影イベントも開催されています。「映画の主役」体験をぜひ楽しんでみてください。大人も子供も、本物の映画人になった気分で1日を満喫できます。
中国映画の名作ポスター・展示コーナー
長影旧址博物館の館内には「歴代中国映画名作ポスターコーナー」があり、1950年代から続く幅広い年代のポスターがずらり。色褪せたヴィンテージポスターの並ぶ壁を眺めていると、自分が中国映画のタイムラインに入り込んだような不思議な気持ちになります。
中国映画界に詳しくなくても、思わず引き込まれるアートなデザインのポスターや、社会の“空気”を感じさせてくれる作品タイトルが目白押し。「この映画、日本でも放映されたことある!」といった発見もあり、中国映画の奥深さや懐かしさに出会える場所です。
また、ポスタースペースに併設された展示では、撮影時のメイキングフォトやフィルム、スタッフの手書きメモなどコレクター魂をくすぐるアイテムもたくさん。記念撮影スポットも多く、おしゃれな背景に映える写真が撮れる人気コーナーです。
オリジナル記念グッズショップ
映画博物館ならではの楽しみといえば「お土産探し」。長影旧址博物館のグッズショップには、ここでしか手に入らないオリジナルアイテムがいっぱいです。映画ポスターのミニ版、クラシック映画キャラクターのフィギュア、限定ノートやピンバッジなど、ついつい手が伸びてしまう素敵グッズが揃っています。
中国映画ファンはもちろん、映画に詳しくなくてもデザインが可愛いので友達や家族へのお土産にも最適です。例えば、復刻デザインのキーホルダーや、当時使われていたフィルム缶をイメージした小物ケースは人気商品。中国特有のレトロ感がおしゃれインテリアにもぴったりです。
また、季節ごとに限定グッズが登場したり、映画祭シーズン限定のスペシャルアイテムも発売されることがあるので、何度訪れても新しい発見があります。ショップスタッフはフレンドリーで、グッズについて話しかけてみると、隠れたおすすめを教えてくれることも!
4. 体験してみよう!楽しみ方いろいろ
クラシック映画上映体験
長影旧址博物館の中には、小規模なシアター(映写室)があり、定期的に中国映画のクラシック作品や記念作の特別上映が行われています。ここでしか見られないデジタルリマスター版、懐かしの映像など、映画ファン必見のラインナップです。
上映作品は時期やイベントによって変わるので、訪れる前に公式サイトなどでスケジュールをチェックしましょう。字幕付き上映がある場合もあり、中国語がわからない方でも映像美や雰囲気をたっぷり楽しめます。上映後には作品解説などのトークイベントが開かれることも。
ちょっと昔にタイムスリップしたような気分で、名作映画を堪能できるひととき。日本映画館とは違う、中国の昔ながらのシアターの雰囲気を味わえるのも大きな魅力です。映画上映だけを目当てにリピーター来館する人も多いです。
映画制作ワークショップ参加
映画が好きなら「制作ワークショップ」への参加もおすすめです。館内で定期的に開催されているこのワークショップでは、簡単な脚本作りやカメラ撮影、音声や編集の体験まで幅広くチャレンジできます。小グループでの参加や、家族連れの体験も気軽にOK!
ワークショップでは、プロの映画スタッフやインストラクターが親切にサポートしてくれるので、中国語が苦手でも身振り手振りで何とか通じることが多いです。カメラマン気分でセットや小道具を使いながら、自分だけのシーンを短編映画として撮影することも体験できます。
また、完成したミニ映画は後日データで受け取れるサービスもあり、旅の記念・思い出作りに大人気。親子連れや友人同士で思いっきり映画ごっこを楽しんでみてください。その場で体験した映像制作の楽しさが、きっと一生の思い出になりますよ!
ガイドツアー&インタラクティブ展示
長影旧址博物館ならではの楽しみといえば、スタッフによるガイドツアー。映画の歴史から裏話、有名スターとのエピソードまで、わかりやすい説明が魅力です。事前予約制のツアーでは少人数グループで、撮影所の奥深くまでじっくり案内してもらえます。
ツアー中は、インタラクティブ展示にも参加可能。例えば、昔のカチンコやカメラを実際に“操作体験”できるスペースや、映像編集のワークショップなど、来場者が「映画を作るってどういうこと?」を体験的に学べる内容が充実しています。
ツアーガイドは分かりやすい中国語・英語で案内してくれますし、要望すれば日本語案内も手配可能な場合あり。言葉が不安でも身振り手振りですぐに打ち解けられるので、映画愛あふれるスタッフと一緒に時間を過ごしてみましょう。
5. 博物館周辺のグルメ&観光
長春グルメでランチやお茶を楽しむ
観光の合間にぜひ立ち寄りたいのが、博物館周辺のグルメスポット。長春は中国東北料理の中心地で、“家常菜”と呼ばれる素朴な家庭料理が初心者にもおすすめ。ジャガイモや白菜、豚肉、干し豆腐を使ったおかずが多く、日本人好みの味付けです。
代表的な名物には、「鍋包肉(グオバオロウ、甘酢餡をかけた豚肉の唐揚げ)」や、「地三鮮(ジャガイモ・ナス・ピーマンの煮込み)」などがあります。博物館近くには地元密着の食堂や、ちょっとおしゃれなカフェレストランもたくさん。スパイシーなものが少なく、素朴なやさしい味がずらり!
また、歴史的なカフェや新しいスイーツ店も増えているエリア。中国茶体験ができるカフェで、あたたかいお茶と伝統菓子でほっとひと息…という楽しみもあります。観光客にも親切なスタッフが多いので、メニューの写真やスマホ翻訳を活用するとスムーズです。
近くの人気観光スポット巡り
長影旧址博物館を訪れた後は、市内の他の名所も一緒にまわるのがおすすめ。「偽満皇宮博物院」は日本時代の満州国皇帝・溥儀(ふぎ)が実際に住んだ宮殿。歴史ドラマの舞台さながらの建物と展示が非常に印象的です。
また、広大な「南湖公園」は市民のオアシス。お天気のいい日は池の周辺で散歩したり、地元の人と一緒に太極拳やダンスを楽しむ様子も見かけます。四季折々の花や緑も見どころですよ!
時間があれば「長春動植物園」やアートギャラリー、地元の市場にもぜひ足を運んでみてください。まるでタイムスリップしたような昔ながらの商店街や、にぎやかな現代のショッピングエリアなど“長春”のさまざまな表情が楽しめます。
おすすめの宿泊エリア紹介
長春はホテルの選択肢も幅広いです。安心・きれいな日系ホテルから、リーズナブルなローカルホテルまで揃っているので、旅のスタイルに合わせてぴったりの一軒が見つかります。旧市街エリアは歴史的な建物が多く、観光にも便利です。
特におすすめなのが、「市中心部」か「文化広場」周辺。主要地下鉄駅や観光スポットが近く、食事や移動に困らないのがいいところ。また、ホテルによっては日本語対応スタッフが常駐していたり、日本風の朝食が選べるところもあります。
予算を抑えめにしたい方は、ゲストハウスやビジネスホテルが充実した新市街エリアも狙い目。駅や空港からのアクセスも便利なので、夜遅い到着・朝早い出発の場合にも安心です。
6. 訪れる前の豆知識とアドバイス
ベストシーズンと開館時間
長春のベストシーズンは春と秋。春には桜や花が咲き始め、秋は紅葉とすっきりした空気で、散策や観光には最高の季節です。夏は暑すぎず比較的快適ですが、冬はマイナス20度を下回る厳しい寒さになることもあり、しっかり防寒対策をしてください。
長影旧址博物館の開館時間は、通常午前9時から午後5時まで。休館日は基本的にありませんが、祝日やイベント時は開館時間が変更になる場合もあります。訪問予定日は公式サイトや現地のインフォメーションで事前確認しておくと安心です。
また、長春市内の他の観光地も同じような営業時間に合わせているので、1日で複数スポットを効率的にまわれます。閉館30分前には入場できない場合もあるので、時間に余裕を持って訪れるのがおすすめです。
チケット購入・注意ポイント
入館チケットは現地チケットカウンターで購入するほか、公式サイトや大手チケットアプリ(中国の「大衆点評」や「携程旅行」など)で事前予約も可能。繁忙期や連休時期は混雑するため、事前予約(QRチケット発券)がスムーズ。
価格は大人40元前後、小中学生やシニアは割引がある場合も多いです。特別展示や映画上映イベントなどセットチケットもあり、館内のスタッフに「何を見たいか」伝えると一番お得なチケットを提案してもらえます。
注意点は、身分証(パスポート)の提示が求められる場合があること。観光客でも入り口でパスポートを見せればOKなので、忘れず持参しましょう。また、館内は一部撮影禁止エリアもあるので、注意書きをしっかりチェックしてください。
言葉や文化で役立つワンポイントアドバイス
長春や長影旧址博物館では、英語が話せるスタッフが多く、中国語に自信がなくても何とかやりとりできます。日本語の対応は限られますが、スマホ翻訳アプリを使えばほぼ問題ありません。日本人観光客が増えていて、簡単な中国語で「こんにちは!どこですか?」など話しかけると、とても親切に教えてくれます。
中国の博物館や観光地では「静かに見る」「一列で進む」などのルールがしっかり守られています。他の来場者への配慮や、展示物へのお手を触れないよう注意するのがマナーです。また、大きな荷物は入り口のロッカーに預けることもできます。
街中や博物館のカフェで注文する際には、写真メニューや指差しでOK。トイレも清潔で、館内の案内板にピクトグラム表示があるので、迷う心配はありません。困ったことがあったら、まずスタッフに声をかけてみてください。
「映画の都・長春」で時空を超えて、中国映画の歴史と情熱をたっぷり体感できる「長影旧址博物館」。映画撮影セットの臨場感や、名作ポスターのレトロな世界観はきっと忘れられない思い出になるはずです。グルメや歴史散歩も一緒に楽しんで、あなたならではの“映画体験ツーリズム”を満喫してください。中国東北の穴場都市・長春へ、次回の旅先候補にぜひどうぞ!