石家莊は、近年どんどん観光地として注目されてきています。その中でも、まるで中国古代小説の世界にワープしたかのような体験ができる「榮国府」は、一度は訪れてみたいスポットです。名作ドラマ「紅楼夢」のロケ地としても有名なこの場所は、歴史とドラマのロマンが溢れ、歩くだけで心が躍ります。中国の伝統建築や美しい庭園、衣装体験やカフェも充実しているので、家族や友人、カップル旅行にもぴったりです。今回はそんな石家莊と榮国府の魅力を、旅行ガイドとしてたっぷりご紹介します。
1. 石家莊ってどんなところ?
石家莊市の基本情報
石家莊(せきかそう)は中国河北省の省都で、人口も1,000万人を超える大都市です。北京から約280kmほど南西にあり、中国の経済や交通の要所として発展してきました。修繕が進む街並みと、大規模な工場やオフィスビルが並ぶ現代的な景色が共存しています。
石家莊は元々鉄道の接点として栄え、現在も中国北部の重要な交通ハブです。古くは田舎だった場所が、20世紀初頭に駅ができたことから急速に発展し始めました。それが今や河北省一の都市となっているのです。気候は比較的乾燥しており、冬は寒く夏は暑いので季節によって街の表情も変わります。
市内には新旧さまざまな建築物や史跡、公園、ショッピングモールなど観光客にうれしいポイントがたくさんあります。実は歴史遺産も少なくなく、有名な景観地や自然も点在。忙しい都市の雰囲気と、どこか素朴で親しみやすい空気が共存する街、それが石家莊です。
アクセスと交通手段
石家莊へは日本からの直行便はありませんが、北京や上海など中国主要都市から高速鉄道(高速鉄道、通称「高鉄」)や長距離バスが多く運行しています。北京西駅から高速鉄道で約1時間ほど、空港もありますのでどこからでもアクセスは良好です。
市内の移動は地下鉄、バス、タクシーが主な手段です。地下鉄は2路線あり、市中心部から観光地や大型ショッピングモールまでアクセスがしやすいです。さらにレンタル自転車も普及しているので、自分で街を気ままに散策するのもおすすめです。
日本語や英語はあまり通じないので、Googleマップや翻訳アプリ、WeChatなどを活用すると安心して移動できます。チケット購入も交通カード「一卡通」が便利で、駅やバスで使えるので最初に入手しておくと快適です。また、最近はDiDiと呼ばれる配車アプリも人気で、現地のタクシーや自家用車をスマートフォンで手配できます。
市内の観光スポット紹介
石家莊市内には、現代的な高層ビルやショッピングモールはもちろん、美しい歴史的建築物もたくさんあります。たとえば「趙州橋(ちょうしゅうきょう)」は、1400年以上もの歴史をもつ中国最古の石造アーチ橋で、世界遺産にも推薦されたことがある名所です。
また、「西柏坡(せいはくは)」は中国近現代史の重要な舞台。ここは中国共産党が重要政策を決定した歴史的拠点として、国内外から多くの観光客を集めています。さらに、棚田が美しい「正定古城」や歴史的仏教寺院、「隆興寺」もおすすめです。
街中の新しいエリアには、人気のショッピングモール「万象城」や、カフェやレストランが充実する「長安区」など、市民の憩いの場もたくさん。もちろん、今回紹介する「榮国府」も、市内からアクセスしやすい注目の観光地のひとつです。
2. 榮国府とは?
歴史と背景
榮国府(えいこくふ)は、石家莊郊外の正定県にある、中国古典大河小説『紅楼夢』の世界観を完全再現した大型観光施設です。1986年、中央テレビ(CCTV)版ドラマ「紅楼夢」撮影のために建設され、その後一般に公開されるようになりました。
当時、原作にできるだけ忠実にするという強いこだわりを持って、数年におよび大規模な建設工事が進められました。そのため、実際に中国清朝時代の建築様式を忠実に再現しており、中国伝統文化の粋を感じられる場所として国内外から観光客が集まる名所となっています。
また、榮国府の建設は石家莊の観光振興にも大きく寄与し、「紅楼夢」ファンだけでなく、建築や中国伝統文化に興味のある人、家族連れ、修学旅行生などあらゆる層から高い人気を集めています。今や石家莊観光には欠かせないランドマークとなっています。
テレビドラマ「紅楼夢」とのつながり
中国を代表する名作小説『紅楼夢』(こうろうむ)は、多くの映像化作品が生まれていますが、中でも1987年に放送されたCCTV版ドラマは、最も有名で、今なお多くのファンを持っています。このドラマの主要なロケ地、そしてセットがそのまま榮国府なのです。
撮影当時、監督や美術スタッフが細部まで徹底してこだわり、原作の世界観を損なわないようセットが作られました。躍動感のある役者陣の演技と美しい背景が相まって、ドラマを観た人なら「このシーン見たことある!」と感じる場所が館内のあちこちに点在しています。
そのため「紅楼夢」好きのファンならずとも、ドラマや映像制作の裏話やセットの裏側、当時の写真や資料展示なども楽しむことができます。現場スタッフや俳優たちの思い出が詰まったこの場所は、作品世界への没入感がより一層強くなる特別な体験となっています。
建築スタイルの特徴
榮国府の建築スタイルは、清朝時代(17~19世紀)の宮廷や官僚屋敷をモデルにしています。重厚で格式高い正門から、繊細な彫刻が施された回廊、赤や金を基調とした絢爛な建物が続き、まるで時代劇の世界に入り込んだような感覚を味わえます。
屋根は中国伝統の「飛檐翹角(ひえんきょうかく)」という反り上がる独特のデザインで、柱や扉、欄干の細かい意匠も一見の価値あり。これらはすべて職人の手仕事で作られており、建築美術の高さに思わず息を呑むことでしょう。
庭園内には「小橋流水」や「花木繁茂」など、自然美と人工美が融合した景観が広がり、散策するだけでも心が癒やされます。一歩一歩踏みしめるごとに、時代を越えた中国の美を発見できる、素晴らしい空間が広がっています。
3. 見どころ
華麗な正門と伝統建築
榮国府に到着してまず目に飛び込んでくるのが、大きく重厚感のある正門です。真っ赤な門に金色の飾りが豪華に施され、威厳と華やかさを兼ね備えています。門前に立つだけで、これから何か特別な冒険が始まりそうな気分になります。
正門をくぐると、左右対称に広がる伝統的な建築群がずらり。壮麗な本館や、細やかな彫刻が施された回廊、まるで宮廷に来たかのような趣があります。建物一つひとつには、清朝時代の美学が細部にまで行き届いています。
また、細部の飾りや彩色も見どころの一つ。特に梁や柱に描かれた伝統文様や、門戸の精緻な彫り物など、写真映えスポットがいたるところに点在しています。歴史とロマンを感じる建築にうっとりしながら、ゆっくりと散策してみましょう。
絢爛な庭園と四季折々の花
榮国府のもう一つの魅力は、広大な美しい庭園です。歩道が石畳になっており、池や小川にかかる橋、紅葉や梅、牡丹など四季折々の花が咲き誇ります。春には桜や梅が見ごろを迎え、まるで絵のような風景が広がります。
特に「小橋流水」の景色は圧巻です。池の上にかかる小さな橋を渡りながら、柔らかな風や水音を感じ、古き良き中国文化の情緒を味わえます。木陰で休憩しながら花を眺めたり、庭のベンチに座って小説のワンシーンを思い出すのも素敵ですね。
また、季節によっては花祭りや庭園イベントも開催されます。自然の美しさと建築美がとけあった空間で、慌ただしい日常を忘れ、のんびりと癒やしのひとときを満喫できるでしょう。
名場面再現イベントと演劇体験
「紅楼夢」といえば、数々の名場面がファンの心に残っています。榮国府では、原作やドラマの物語を再現するイベントやミニ演劇が定期的に開催されています。プロの俳優による演技だけでなく、観客も参加できる体験型イベントも充実しています。
たとえば、有名な「元妃省親」や「花祭り」などの名シーンのパフォーマンスを間近で観ることができます。劇中の衣装や小道具も本格的で、撮影に使われたセットそのままの雰囲気を楽しめます。中国ドラマファンには夢のような時間です。
また、観光客向けの簡単な演劇体験コーナーも設けられています。衣装に着替えて簡単なセリフを言ったり、写真を撮ったりと、子どもから大人まで楽しめる仕掛けがたくさん。家族や友人と一緒に非日常的な体験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
4. 楽しみ方と体験ポイント
衣装体験や写真撮影スポット
榮国府の最大の楽しみの一つが、伝統衣装体験です。施設内には衣装レンタルショップがあり、清朝時代の宮廷服や華やかな中国ドレス、髪飾りまで本格的なものが揃っています。スタッフが着付けやヘアセットも手伝ってくれるので、誰でも簡単に古代の貴族気分を味わえます。
人気の撮影スポットは「蓮花池」や伝統的な回廊、壮大な正門前。どこで撮っても絵になるので、SNS映え間違いなしです。家族連れなら全員で、カップルならロマンチックに、友人同士ならワイワイ楽しく思い出の写真を残せます。
また、プロのカメラマンによるフォトプランもあるので、特別な記念写真を撮りたい方にはぜひおすすめ。行列ができるほどの人気ですので、休日は少し早めに行くとスムーズですよ。観光の合間にコスプレ気分で撮影を楽しみましょう。
施設内のレストランやカフェ
観光で歩き疲れたら、施設内のレストランやカフェでほっと一息つきましょう。榮国府には中国伝統料理を提供するレストランがあり、名物の点心や餃子、麺類など本場の味をリーズナブルに楽しむことができます。メニューには「紅楼夢」ゆかりの料理も登場します。
また、カフェでは中国茶やスイーツ、身体にやさしい漢方素材のおやつも人気。歴史的な建物の中、窓から庭園を眺めながらゆっくりした時間を過ごせます。セットメニューや季節限定のドリンクも試してみてください。
子ども連れの家族や大人数でも利用しやすい広さなので、休憩やランチにもぴったり。時にはスタッフが民族衣装でサービスしてくれることもあり、ちょっとしたサプライズ気分も味わえます。お腹も心も満たされる素敵な時間が過ごせますよ。
お土産・伝統工芸品ショップ
榮国府の敷地内には、お土産や伝統工芸品を扱うショップが充実しています。紅楼夢関連のグッズ、オリジナルの扇子やお香、書道セット、絵葉書など、多彩な品ぞろえです。日本では手に入らないアイテムもいっぱいあります。
特に人気なのは、ドラマのキャラクターをあしらったグッズや、「紅楼夢」名場面を描いた絵皿やパズル、精巧な刺繍小物。中国の伝統文様や配色が美しく、お土産としても贈り物としても喜ばれます。
さらに、伝統工芸体験ワークショップも定期的に開催されており、京劇のお面作りや香り袋作りなど、大人も子どももチャレンジできます。旅の記念や思い出づくりに、ぜひ寄り道してみてください。
5. 旅のヒントとおすすめシーズン
ベストな訪問時期とイベント情報
榮国府を楽しむなら、ベストシーズンは春(3~5月)と秋(9~11月)です。特に春は庭園の花が咲き乱れ、新緑の中でのんびり散策できます。秋は空気が澄んで紅葉も美しく、写真スポットが増えるのでおすすめです。
年間を通して様々なイベントも開催されています。春には「花祭り」、夏には文化体験イベント、秋には伝統の中秋節イベントや灯籠祭り、冬には華やかなイルミネーションなど、季節ごとに特色あるイベントが盛りだくさんです。「紅楼夢」名場面の再現パフォーマンスもこの時期に合わせて特別バージョンで行われます。
混雑を避けたい場合は、平日の午前中や夕方が狙い目です。また、旧正月や大型連休(国慶節など)は混雑必至なので、早めにチケットを確保しましょう。事前にイベント日程や開館情報をホームページでチェックしておくと安心です。
周辺の観光との組み合わせ
榮国府を訪れた後は、周辺のおすすめ観光地も一緒に回ってみてはいかがでしょうか。まずは正定古城。明代から残る石造りの城壁や城門、鼓楼などが残り、美しい町歩きが楽しめます。文化的な観光が好きな方には必見です。
「隆興寺」は北魏時代からの歴史を持ち、中国仏教建築の傑作として知られています。荘厳な大仏殿や美しい仏像、静かな境内は、榮国府とはまた違うしっとりとした雰囲気に包まれています。また、近くにはユニークな地元市場やローカルレストランもあり、食べ歩きも楽しいです。
それ以外にも、石家莊市中心部の現代的なショッピングモールや、文化芸術施設、地元美術館では現代中国の感性に触れられます。市内は交通アクセスが充実しているので、気軽に複数スポットを組み合わせることが可能です。
観光の際の注意点と便利情報
榮国府の入場はチケット制ですが、人気の時期は事前予約が安心。公式サイトや現地チケット売り場で入手可能です。現金以外にもモバイル決済(Alipay、WeChat Payなど)が使えるので、中華圏の電子マネーを用意しておくと便利です。
敷地が広く、歩く距離が長くなるので、歩きやすい靴がおすすめです。夏は日差しが強いので、帽子や日焼け止めもお忘れなく。冬はかなり冷え込むことがあるので、防寒対策もしっかりして行きましょう。
また、施設内へのペットの同伴は禁止されているので注意が必要です。さらに、館内写真撮影も一部制限されている場所があるため、係員の指示に従うのがマナーです。携帯の充電器や飲み物は持参しておくと安心です。
6. 石家莊グルメ・周辺スポットも満喫
石家莊の名物グルメ
旅行の楽しみといえば、やっぱり現地グルメ。石家莊では小麦を使った料理がとても豊富で、「驢肉火焼(ロバ肉サンド)」が地元名物として有名です。サクサクのパンに薄切りのロバ肉を挟み、特製調味料で味付けした素朴な一品です。
また、「羊肉泡馍」は羊肉のスープにちぎったパンを浸して食べる料理で、寒い季節にぴったり。香辛料の効いたスープと柔らかい羊肉がクセになります。市内になじみのお店も多いので、ぜひ挑戦してみてください。
野菜たっぷりの「涼皮(リャンピー)」や「炸醤面(ジャージャー麺)」など、日本人の口にも合いやすい料理も多いです。おしゃれなカフェやスイーツショップも増えているので、お腹も心も大満足のグルメ旅が楽しめます。
榮国府近くのおすすめ観光地
榮国府の近くには「正定古城」があり、こちらも外せないスポットです。城壁や古い町並み、夜にはライトアップも楽しめて、歴史ロマンを感じながらお散歩ができます。カラフルな提灯が並ぶ夜市も必見です。
「隆興寺」は自然と歴史が見事に調和した美しい仏教寺院です。落ち着いた空間で瞑想したり、お堂の陰でちょっと休憩したりするのもおすすめ。観光バスやタクシーなら榮国府から10分ほどなので、スムーズに移動できます。
また、地元の市場「正定老街」では、生鮮食品や小物、お菓子などいろいろな地元グルメやお土産が見つかります。観光客向けのフードスタンドも出ているので、ぜひ立ち寄ってみてください。個性的なお店が揃っています。
一日モデルコース紹介
朝、石家莊市内中心部からバスまたはタクシーで榮国府に向かいます。午前中は建物や庭園をゆっくり観光。伝統衣装体験や名場面再現のイベントも楽しんでみてください。お昼には榮国府のレストランで中国伝統料理を堪能。
午後は榮国府のショップでお土産探し。ゆっくり休憩したら、タクシーで正定古城へ移動。城壁の上を歩いたり、写真を撮ったり、歴史的な建物を巡ったりして、昔ながらの町並みを楽しみます。
夕方には隆興寺を訪れて静かなひとときを過ごし、最後は正定老街の屋台グルメで小腹を満たしましょう。夜景やライトアップも満喫し、石家莊市中心部のホテルへ戻れば、一日充実した中国旅の思い出ができるはずです。
終わりに
石家莊と榮国府は、歴史や文化、美しい建築と自然、そしてグルメや体験がぎゅっと詰まった、旅好きにはたまらないエリアです。中国ドラマや歴史小説の世界観に浸ってみたい方、本場の中国文化を感じたい方、心温まる田園の風景に癒やされたい方には、特におすすめしたいスポットです。
アクセスも良く、観光施設や周辺の見どころも豊富。グルメも思い出づくりも大満足間違いなしの石家莊旅行。ぜひ次の旅先に、榮国府を中心とした中国北部の旅を検討してみてくださいね。
日本ではなかなか味わえない異国情緒あふれる特別な時間を、ぜひ体験してください!