天津は北京から電車で30分ほど、黄河と渤海の間に広がる昔ながらの港町です。その中でも異国情緒あふれる場所が「イタリア風情区(イーリャーフォンチンチュー)」です。ここは、まるで中国にいながら本物のヨーロッパに紛れ込んだかのような風景が楽しめるとあって、近年日本人観光客にも大人気のスポット。オシャレなカフェや本格イタリアンレストラン、フォトジェニックな通りが続き、ゆったり散歩するのにぴったりです。今回はイタリア風情区への行き方から観光の楽しみ方まで、余すことなくご紹介していきます!
1. イタリア風情区へのアクセス
1.1 電車での行き方
天津へのアクセス手段として一番早くて便利なのは電車です。北京南駅から中国高速鉄道(CRH)を利用すれば、天津駅までたったの30分ほど。天津駅からイタリア風情区まではタクシーで10分弱ですが、歩いても20分程度とアクセス抜群です。天津駅は大きくて近代的な作りなので、改札を出たらまず「河東区」方面の出口を目指しましょう。
プラットホームを降りたら観光案内看板に沿って進めば、初めての方でもスムーズにイタリア風情区を探せます。駅の地下道を通るルートもあり、雨の日や暑い日でも安心です。街なかを抜けていくと次第に石畳の道路や西洋風の建物が現れ、気分が一気に盛り上がってきます。
「週末や休日は高速鉄道が混雑しやすいので、早めの時刻の切符を予約しておくのが安心です」と、現地の観光案内所の人もアドバイス。天津到着後は駅周辺のみやげ物屋や地元スナックの屋台も楽しめるので、早めに着いても退屈しません。
1.2 バスでのルート
電車のほか、費用を抑えたい方や在住日本人には市バスも人気です。天津市内の主要バスターミナルから「イタリア風情区」方面へのバスが何本も出ており、例えば天津駅前からは678路や831路のバスが便利。「イタリア風情区」停留所で降りると、すぐ目の前にレンガ造りの美しい建物群が見えてきます。
天津の市バスは系統によって運行間隔が異なりますが、どれも割と本数が多いので待ち時間はあまり苦になりません。車内放送は基本的に中国語ですが、人気観光地のアナウンスには英語も流れる場合があるのが嬉しいポイント。また、ICカードや電子マネーも使えるので小銭がなくてもOK!
地元の人とバスで一緒に揺られるのも、プチ冒険気分が味わえて楽しいですよ。混雑している場合は立っていることもありますが、車窓から流れる天津の街並みを楽しめばあっという間。気さくな中国人乗客に話しかけられることも多いです!
1.3 自転車や徒歩でのアクセス
天津は市内が平坦で道幅も広く、自転車での移動がとっても快適な町です。近年は街なかのあちこちにシェアサイクル(ofo、Mobikeなど)のステーションがあり、スマホアプリを使って気軽に借りることができます。天津駅エリアからイタリア風情区まで片道約10分、早朝や夕方の涼しい時間帯のサイクリングは特におすすめ!
さらに天津は、川沿いの遊歩道や緑道の整備が進んでいて、散歩やジョギングでも気分爽快です。天津駅近くの海河(ハイフー)沿い遊歩道を歩いていくと、小鳥のさえずりや川面の風を感じながら気持ちよくイタリア風情区にたどりつけます。途中には地元の人が集まる市場や小さな公園もあり、一息つくのにも便利。
徒歩や自転車なら、気になる露店や面白そうなお店を見つけたらすぐに寄り道できるのも嬉しいポイント。道中で現地の方とちょっとした会話を楽しんだり、写真スポットを探したりと、旅気分を満喫できます。
2. イタリア風情区の歴史
2.1 設立の背景
イタリア風情区の歴史を遡ると、実はここは20世紀初頭、イタリア租界として誕生した地域です。19世紀末の列強進出時、天津は外国租界が多く置かれた国際都市となり、その中でイタリアが管轄したエリアが今の「イタリア風情区」となっています。レンガ造りやアーチ窓、石畳など当時の西洋建築が現在も色濃く残る貴重な街並みです。
当時の天津は、中国国内でも最先端の町で、西洋の文化や技術が続々と流入していました。イタリア租界ではイタリア人建築家や職人が設計・施工した本格的な西洋建築が次々と建てられ、カトリック教会や警察署、劇場などがそろい「小さなイタリア」と呼ばれていたとか。
戦争や時代の変遷によって多くの租界区域が消えていった中、イタリア風情区は歴史的建築物が比較的よく保存されていたため、今日では文化財としての価値も認められています。まさに天津の異国情緒の象徴です。
2.2 時代の変遷
イタリア租界が形成された20世紀初めから、天津のこのあたりはとにかく国際色豊かでした。租界時代の建物は、時には中国人の富裕層や海外駐在員の社交場となり、ヨーロッパの衣食住が根付いていったそうです。もちろん戦時中には紆余曲折もありましたが、大きな火災や戦争被害を奇跡的に免れ、街並みが現代まで残っているのは非常に珍しいことです。
新中国成立後、イタリア租界は一旦市民用住宅や政府施設として再利用され、建物の老朽化も進みました。しかし21世紀に入ってから天津市政府が大規模な再開発と修復を実施。歴史ある建築群をほぼオリジナルの姿に戻すことに成功し、2000年代後半には観光スポット「イタリア風情区」として新たに生まれ変わりました。
改修にあたっては当時の資料や写真、イタリアから取り寄せた材料なども活用され、専門家監修で細部までこだわった復元がなされています。天津の人々にとっても、ここは自慢の「歴史ロマン溢れる散策スポット」として愛されています。
2.3 文化的影響
イタリア風情区が出来て以来、天津にはイタリアや他の西洋文化が幅広く流入し、地元住民にも大きなインパクトを与えてきました。街全体に漂う洗練された空気はもちろん、グルメやファッション、音楽までもがどこかお洒落でヨーロッパ風です。
地元の若者たちはこの地域を「インスタ映えスポット」として好んで集まり、写真や動画撮影が欠かせません。随所で見かける街角カフェやジェラート屋さんも、中国の他の都市とひと味違った本場さながらの雰囲気。休日には家族連れやカップルも多く、天津のライフスタイルに異文化ミックスの面白さを添えています。
また、イタリアの伝統音楽や美術、映画イベントなども定期的に開催されており、訪れるたびに新しい文化体験ができるのも魅力の一つ。伝統的な中国文化と西洋文化が交わる場所―それがまさに天津のイタリア風情区なのです。
3. 見どころ
3.1 イタリア風建築物群
イタリア風情区を歩くと、まず目に入るのが美しい西洋建築の数々。明るい色合いの壁やカラフルな窓枠、装飾性豊かなバルコニーなど、まるでヨーロッパ映画のセットさながらの光景に圧倒されます。有名なのは「コロンバーレ通り」や「ヴェネチア広場」周辺で、まっすぐ延びる並木道や石畳の街路が特徴です。
重厚な石造りの建物やレンガ造りのクラシックなホテル、ドーム型屋根の教会、そしてレトロな噴水や街灯まで、細部へのこだわりが感じられます。どの建物も写真を撮らずにはいられないフォトスポット。ウェディングフォトの撮影やファッションモデルのロケ地としても大人気です。
建物の一部は今なお博物館やギャラリー、アートカフェとして現役で活用されているので、外観を眺めるだけでなく、気になる施設にはぜひ一歩足を踏み入れてみてください。昔のままの床タイルや木製階段、アンティーク調のインテリアなど、まさに「歴史が息づく空間」を体感できます。
3.2 レストランやカフェ巡り
イタリア風情区といえば「食」の楽しみも欠かせません。こだわりの本格ピッツァや生パスタ、芳醇なエスプレッソが味わえるイタリアンレストランが点在し、テラス席でのんびり食事を楽しむ人々の姿も日常茶飯事です。天気の良い日にパラソルの下でランチ… そんな贅沢な時間も、ここならでは。
また、おしゃれなカフェやジェラート店は、散策の休憩場所に最適。地元産の食材を使ったオリジナルメニューや旬のフルーツデザートも豊富なので、甘いもの好きの方も満足できること間違いなし。時には店内にライブ演奏が流れるカフェもあり、雰囲気に酔いしれてしまいます。
中国にいながらイタリアの食文化を身近に体験できるのは、天津のイタリア風情区ならでは。レストランごとにオーナーのこだわりや特徴が異なるため、気になるお店をはしごして自分のお気に入りを見つけるのも楽しい旅の思い出です。
3.3 夜のライトアップショー
イタリア風情区は昼間の澄んだ景観も素敵ですが、夜になるとまた違った顔を見せてくれます。日が暮れると、エリア全体に幻想的なライトアップが施され、ゆらゆらと揺れる街灯の下でロマンチックな雰囲気が漂います。カップルや観光客の間では「夜のイタリア風情区デート」が大人気です。
特に噴水や広場周辺では、約7万個ものLEDが織りなす音楽と光のショーも開催され、まるで映画のワンシーンに迷い込んだよう。今年の春には「星空イルミネーション」や特設プロジェクションマッピングも行われ、壁一面に映し出されるカラフルな映像に子供たちも大喜びでした。
レストランやバーの灯りが夜風に揺れるテラス席、ベンチに座って夜景を眺めながら友達と語らう時間も格別です。イタリア風情区のライトアップは毎晩20時ごろから24時まで実施されているので、夜のお散歩にもぴったりですよ。
4. ショッピングとお土産
4.1 地元のお土産ショップ
イタリア風情区での楽しみ方のひとつは、やっぱりショッピング!欧風の通りを歩いていると、雑貨店やお土産ショップが何軒も目につきます。カラフルなマグネットやイタリア風の小物、限定デザインのポストカードなど、ここでしか手に入らないアイテムも多いです。
お土産ショップには、イタリア伝統の工芸品や天津の地元作家によるハンドメイドアクセサリーも揃っています。かわいい陶器やガラス製品はもちろん、革細工や手描きの食器など個性的な品ぞろえが嬉しいところ。特に女性観光客に人気で、日本へ持ち帰るお土産にぴったりです。
また、店員さんがとてもフレンドリーで、商品の説明をしてくれたり、日本語が少し話せるスタッフも時々いるので安心です。お店を見て回るだけでも気分が上がる、ワクワクする空間になっています。
4.2 特産品とおすすめの買い物スポット
このエリアの特産品といえば、イタリアワインやパスタなど本場直輸入の食品が有名です。ワイン専門ショップや輸入スーパーマーケットでは、お手頃価格のテーブルワインから高級ワインまで豊富なセレクションが揃っており、試飲ができることも。グルメ好きな方には、オリーブオイルやチーズ、サラミのギフトパックもおすすめです。
また、伝統的な中国土産に飽きた方には、この地域ならではのオリジナルコスメやアロマ雑貨、イタリアデザインのTシャツやバッグがおすすめ。とくに週末の青空マーケットでは、天津在住の海外アーティストが自作のイラストや手芸品を販売していることも多く、掘り出し物を探す楽しみがあります。
天津土産として見逃せないのは「狗不理包子」や「十八街麻花」などの老舗グルメのミニパック。イタリア風情区近くの地元店舗でも手軽に手に入るので、中国ならではのおみやげとヨーロッパ雑貨の両方をゲットしたい欲張り派にも満足のいくエリアです。
4.3 市場での値引き交渉のコツ
天津の市場や露店では、ちょっとした値引き交渉を楽しむのも旅の醍醐味です。イタリア風情区でも、地元アーティストの作品やアンティーク雑貨を扱う露店が点在しています。こうした場所では大体「一応聞いてみる」感覚で値引き交渉を始めてみましょう。店員さんとの会話が弾むと、おまけや割引をしてもらえることが多いです。
値引きをしたいときは、笑顔で「これ、もう少し安くなりませんか?」(中国語で「可以便宜点吗?」)と言ってみるのがコツ。粘りすぎず、ダメでもにこやかにお礼を言えばOK。あくまでも親しみやすさとマナーが大事です。
コツは、お店が混んでいる時間帯よりも、ちょっと空いている午前中や夕方を狙うこと。日本語や簡単な英語でも通じることが多いので、気後れせず積極的にコミュニケーションを楽しんでください。思いがけない掘り出し物や、人情味あふれる店員さんとの触れ合いこそ、旅の思い出になりますよ。
5. 文化体験とアクティビティ
5.1 イタリア音楽と芸術フェスティバル
イタリア風情区では一年を通じてさまざまな音楽・芸術イベントが開催されています。春と秋には「イタリアンアートフェスティバル」や「クラシックコンサートウィーク」といったイベントが行われ、広場には大きな特設ステージが登場。地元の音楽家やダンサーがイタリアや中国の曲を披露し、観客も手拍子をして楽しむ賑やかなムードです。
また、イタリア大使館や文化団体が主催するバロック音楽会や映画祭もあるので、偶然にも参加できれば本場の芸術にどっぷり浸れます。子供向けワークショップや美術展示も多く、家族連れや若者グループにも大人気。
夜には、野外カフェで行われるライブ演奏やストリートパフォーマンスも見どころ。イタリアオペラの名曲やジャズライブまで、ジャンルも多彩。日本からの観光客にも「ここで国際的な空気を肌で感じられる」と好評です。
5.2 写真撮影スポット巡り
イタリア風情区は天津きっての撮影名所です。旅行好きの方やインフルエンサー志望の方は、ぜひカメラ片手に散策してみてください。特に朝の静かな時間帯は、石畳の路地や緑あふれる広場が一層美しく、写真映えスポットが目白押しです。
おすすめ撮影ポイントは、ヴェネチア風の橋や花で飾られた噴水広場、クラシカルな教会前など。貸し自転車やアンティーク調のレンタカーも使えば、気分は映画の主人公。カラフルな壁画やベンチ、ユニークなアート作品も各所にあるので、自分だけの「秘密のお気に入り写真」を見つけてみては?
夜になるとライトアップされた建物や街路樹も、昼とは違う幻想的な写真に仕上がります。旅の思い出としてはもちろん、SNSやブログにも映えること間違いなし。友達同士のお揃いファッションでの記念撮影もおすすめですよ。
5.3 地元ガイドツアーの体験
イタリア風情区には、英語や中国語、日本語が話せる地元ガイドさんが案内してくれるウォーキングツアーがあります。予約制のプライベートガイドから、当日受付のグループツアーまで様々。歴史や建築の専門知識を交えた解説付きで、普段は見逃してしまいがちなスポットまで案内してもらえます。
ツアーの途中では、オススメのレストランや地元民だけが知っている隠れ家カフェなど、グルメ情報も教えてもらえるのが嬉しいポイント。ときにはイタリア語・中国語の簡単講座タイムがあることも。お土産選びや写真の撮り方コツなど、旅のプラスαのアドバイスもたっぷりです。
初めて天津を訪れる方や、もう一歩深く現地文化に触れてみたい方には、こうしたガイドツアー体験は本当におすすめ。旅自体がより思い出深く、充実したものになりますよ。
6. 滞在先のおすすめ
6.1 イタリア風情区内のホテル
イタリア風情区の魅力を存分に味わいたいなら、ぜひエリア内のホテルでの宿泊をおすすめします。歴史的な欧風建築を生かしたブティックホテルやデザイナーズホテルがいくつかあり、アンティーク家具やアート作品が飾られたおしゃれなお部屋は、非日常の特別な時間を約束してくれます。
ホテルによっては、窓から並木道や広場を一望でき、朝起きてすぐ散策に出かけられる立地のよさもポイント。館内レストランやカフェでは、本格的なイタリアンや中国料理が味わえ、滞在自体がひとつの観光体験です。
また、英語や日本語のサービスガイドがあるホテルも増えており、初めての天津旅行でも安心。観光案内デスクで周辺散策のおすすめスポットやイベント情報も入手できるので「旅の拠点」として非常に便利です。
6.2 伝統的な宿泊施設
イタリア風情区近隣には、天津伝統の「四合院」を改装したゲストハウスや、昔ながらのレトロなビジネス旅館も残っています。レンガ造りの落ち着いた雰囲気と、アットホームなもてなしが魅力。宿の中庭では伝統茶の試飲や、書道ワークショップなど、ちょっと変わったローカル体験もできます。
こういった宿はちょっとだけリーズナブルで、地元の生活に近い滞在を味わいたい方にピッタリ。屋上テラスや読書室などこだわりの共用スペースがある所も。近くに地元スーパーや朝市もあり、観光とローカル気分の両方を満喫できます。
オーナーや従業員が天津出身で、日本の観光客にも親切に接してくれることが多いです。予約はネット予約サイトや現地旅行社を活用してください。
6.3 日帰り旅行と宿泊の選択肢
天津は北京からも近いため、日帰り旅行先としてもおすすめです。朝の高速鉄道を使えば午前中からイタリア風情区を散策し、夜には北京へ戻ることも余裕。スーツケースを持たずに身軽に観光できるのは日帰りの強みです。
一方、せっかくなら夜のライトアップやディナーも楽しみたい…という方は、ぜひ一泊してみてください。朝夕のゆったりした時間帯は観光客も少なく、エリア独自の静けさや地元の空気を満喫できます。力を抜いて過ごす週末ステイは、忙しい毎日へのリフレッシュにもぴったり!
天津にはイタリア風情区以外にも見どころ満載。「古文化街」や「大沽口砲台」など別の観光地も併せて巡るなら、2泊3日プランもおすすめです。
まとめ
天津のイタリア風情区は、中国にいながらにして本場ヨーロッパの気分が味わえるとっておきの異国エリア。アクセスの良さ、歴史ロマン、おしゃれなカフェにショッピング、夜景や音楽フェスまで―どんな旅行スタイルの方にもきっとハマる魅力満載のスポットです。北京からの週末旅や中国旅行の新しい目的地として、ぜひこの不思議で美しいエリアを訪れてみてください。素敵な旅の思い出がきっと待っていますよ!
