揚州という名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。中国の歴史ある都市の一つで、多くの文人や詩人にも愛され続けてきました。そんな揚州のなかでも、昔ながらの情緒をそのまま感じられる場所が「東関街歴史街区」。ここでは、今なお息づく伝統文化や美しい街並みを歩きながら、中国の歴史を五感で体感できます。今回は、揚州と東関街歴史街区の魅力やおすすめポイントをたっぷりとご紹介します。
1. 揚州ってどんな街?
揚州の基本情報と魅力
揚州(Yangzhou)は、中国江蘇省の中部に位置する都市で、古くから「江南の名城」と称される美しい街です。長江の河畔にあり、豊かな水資源と温暖な気候に恵まれています。街を流れる運河や湖、そして緑豊かな庭園が魅力で、歴史的な景観と現代的な都市の顔が調和しています。コンパクトな都市なのでのんびり歩いて周囲を楽しむのもおすすめです。
揚州の一番の魅力といえば、やはりその歴史と文化です。市内の至るところに古い建物や伝統的な街並みが残っていて、他の中国の大都市とは一味違った落ち着いた雰囲気があります。観光地として有名な瘦西湖(Shouxi Lake)や、大運河に面したスポットも多く、どこを切り取っても絵になる風景ばかり。昔の中国を肌で感じられる場所です。
揚州の人々はとても親切で、地元文化に誇りを持っています。観光客にも優しく、地元ならではの美味しい飲食や伝統工芸の体験も豊富です。静かで趣のある旅を楽しみたい方には、まさにぴったりの都市です。
歴史に彩られた都市の歩み
揚州の歴史はとても古く、紀元前から続いているといわれています。特に、隋・唐時代には大運河の要所として栄え、お金持ちや文化人が集まる重要な都市でした。当時の中国国内だけでなく、海外との交易でも活躍し、異文化が交じり合った独特の文化が生まれました。
大運河の建設により、揚州は経済的にも文化的にも飛躍します。多くの商人や職人が住み、豪華な屋敷や庭園が建ち並んでいました。宮廷に仕える人たちも行き来していたため、美食や音楽、詩歌などの文化も発展。今でもその面影を感じる歴史的スポットが多数残っています。歩いているだけで、当時の活気や雰囲気を想像できるのも魅力です。
その後も、明清時代を通じて揚州は発展を続けます。文人や芸術家たちが集い、絵画や書道、詩作といった文化面でも大きな足跡を残しました。現代の観光客が訪れる東関街歴史街区も、そんな揚州の栄光の歴史や生活をありのままに感じられる場所なのです。
食文化と伝統工芸の街としての一面
揚州は美食の都としても有名です。中国八大料理のひとつ「揚州料理」は、素材の持ち味を生かした繊細な味つけが特長です。特に朝食文化が発達していて、地元の人たちは朝早くからお粥や点心、お茶を楽しみます。旅人も早朝の飲食店で“本場の味”を体験できるのは嬉しいポイントです。
また、伝統工芸では「揚州漆器」や「揚州玉器」「剪紙」といった工芸品が有名です。東関街歴史街区では、実際に職人の作業を見学したり、体験ワークショップに参加したりすることも可能です。美しいデザインのお土産を選ぶのも、ここならではの楽しみ方ですね。
さらに、揚州はお茶の名産地でもあり、伝統的な茶館があちこちにあります。旅行の合間に、歴史ある茶館でゆったりとお茶を味わうのもおすすめ。地元の人達が集まる茶館で過ごす時間は、揚州ならではのゆったりとした時の流れを感じさせてくれます。
2. 東関街歴史街区とは?
歴史街区の成り立ちと由来
東関街歴史街区は、揚州市内でも特に有名な観光エリアです。長い歴史を持つこの街並みは、揚州の東に位置し、かつては揚州城の東門—「東関門」があった場所からその名が付けられました。この街道は唐代から交通の要所・商業の中心地として発展し、数百年にわたって多くの人々が行き交いました。
東関街歴史街区は、揚州の繁栄とともに成長した場所です。運河沿いに栄えたこの道は、商人、役人、職人、文人などさまざまな人々が集まる場となり、建築様式や街並みにそれぞれの時代の特色が残っています。近年になり、古い街並みを保護・修復して今のような観光地に整備されました。
旧市街としての趣そのままに、現在でも石畳の道や伝統的な民家、商家が並んでいます。訪れる人はまるでタイムスリップしたかのような感覚を味わうことができるでしょう。また、各所に歴史的建造物や記念碑が残されており、揚州の歴史を身近に感じられるのが大きな魅力です。
場所とアクセス方法
東関街歴史街区は、揚州市の中心部から比較的アクセスしやすい場所にあります。最も便利なのは、揚州駅または揚州東駅からタクシーやバスを使って「東関街」まで移動するルートです。市内公共バスでは、主要な観光地と東関街を結ぶ路線も多く、地元の人に混じってバス旅を楽しむのも中国旅行の醍醐味のひとつ。
もうひとつの方法は、瘦西湖など他の観光地から徒歩やレンタサイクルでアクセスすること。街並みをゆっくり眺めながらの移動も旅の楽しみです。東関街は大運河にも近いため、水上バスも走っています。運河を利用したクルーズで歴史街区へ向かうのは、とてもユニークでおすすめの体験です。
現地には大きな看板があり、観光案内所も整備されているので、はじめてでも迷う心配はありません。日本語のパンフレットや地図も配布されているので、安心して街歩きを楽しめます。
街歩きの楽しみ方
東関街歴史街区の楽しみ方は、なんといっても「のんびり散策すること」です。幅の狭い石畳の道沿いには、様々な年代の建物やお店、茶館、工房などがぎっしりと並んでいます。歩くだけでも、伝統と現代が絶妙に融合した雰囲気にわくわくしてきます。
まずは入り口近くの公園や広場でパンフレットをゲットしましょう。それぞれのスポットを順番に巡るのも良いですし、気に入ったお店やカフェでゆったり過ごすのもおすすめです。どこかから聞こえてくる二胡や笛の音色、中国語で書かれた立派な看板や表札、昔ながらの赤いランタンなど、写真映えする景色がたくさん見つかります。
また、季節や時間帯によっても街並みの雰囲気が変化します。昼間は観光客や地元の人でにぎわいますが、夕暮れどきには赤く照らされた古い建物がとても幻想的な雰囲気に。夜のライトアップも美しく、日帰りではもったいないほど見応えがあります。
3. 見どころ
必見!保存された古い街並み
東関街歴史街区の最大の魅力は、「昔のまま」に近い形で保存された街並みです。屋根瓦や木造の窓枠、細やかな彫刻や装飾が施された家々が、そのまま現役の店や民家として活用されています。中国らしい高い屋根や、赤いランタンが並ぶ光景は、映画やドラマでしか見たことがないという方にもきっと新鮮です。
街区内では、昭和初期の日本の下町のような懐かしさと、異国的な雰囲気が不思議に同居しています。細い路地には、古くからの薬屋さんやお茶屋さん、雑貨店などが点在し、店主が店頭で客とゆったり話している姿にも癒やされます。お店ごとに建物の歴史や特徴が違い、それぞれのストーリーに触れられるのも街歩きの面白さの一つです。
写真好きな方にもたまらない場所です。光と影、石畳や古いドア、手書きの看板、脇道の小さな神社や寺院…どこを切り取っても「揚州らしさ」があふれています。朝や夕方の柔らかい光の時間帯は特におすすめで、歩くだけで多くのフォトスポットに出会えることでしょう。
東関街の有名建築と歴史的スポット
歴史街区の中には、見逃せない有名建築や名所もたくさんあります。まずチェックしたいのは「東関帝廟」。三国志で有名な関羽を祀るお寺で地域の人々の信仰を集め続けています。赤や金色で彩られた豪華な建物は、東関街のシンボルともいえます。
また、「大運河博物館」や「揚州漆器博物館」など、地元の歴史や伝統工芸を学べる施設も人気です。これらのミュージアムでは、実際に貴重な漆器や工芸品を間近で見ることができ、ガイドツアーに参加すれば分かりやすく丁寧に解説してもらえます。繊細な細工や鮮やかな模様に感心すること間違いなしです。
歴史的な館や老舗の商家がそのまま保存され、一般公開されているところも多いです。建物の中を覗くと、当時の豪華な調度品や生活道具、昔の写真などが展示されています。中国ならではの生活や商いの歴史を、目で見て触れて感じられるまたとない機会です。
伝統パフォーマンスや文化体験
東関街歴史街区では、伝統的なパフォーマンスや文化体験のイベントも頻繁に開催されています。京劇や地方劇といった中国の伝統芸能が街頭で披露されることも多く、その鮮やかな衣装や独特な音楽、美しい仕草には思わず見入ってしまいます。初心者にも分かりやすい解説付きのショーもあるので、気軽に観覧できるのが魅力です。
また、季節によっては書道や剪紙(中国の切り絵)、篆刻(石の印章彫り)など、伝統文化の体験教室も開催されています。旅の思い出に、自分だけのオリジナル作品や書を作ってみるのもおすすめ。日本語通訳や簡単な英語が通じる教室もあるので、言葉に自信がなくても安心です。
お祭りの時期や週末には、太鼓や龍舞、獅子舞といった伝統的なパフォーマンスが通りを彩ります。ローカルな雰囲気いっぱいのイベントに参加して、地元の人たちと一緒に盛り上がるのも、ここならではの体験です。
4. 名物グルメを堪能しよう
揚州炒飯発祥の地ならではの味
揚州といえば「揚州炒飯」が超有名!日本でも中華料理店で見かける“チャーハン”ですが、実はその本場がここ揚州なんです。東関街周辺には地元の食堂やレストランが多く、観光客の方も気軽に本場の味を楽しめます。具材たっぷり、ふんわり食感のチャーハンは、やはり一度は食べておきたい一品です。
地元ならではの食材を使った炒飯は、日本で食べるものとひと味違います。エビや鶏肉、干し貝柱、ハム、たまごなどが入っていて、彩りも美しいです。油っこくなくさっぱりしているので誰でも食べやすく、朝食やランチにぴったり。お店によってレシピや味付けが微妙に違うので、数件はしごして食べ比べるのもおすすめです。
また、チャーハン以外にも餃子やシュウマイ、ワンタン、春巻などの点心も豊富。地元スタイルの小籠包(シャオロンバオ)もあり、アツアツの肉汁がたまりません。食べ歩きグルメも充実していて、屋台や小さな飲食店で地元の人達と一緒に味わうのも旅の醍醐味ですね。
有名なお茶と茶館文化
古都・揚州はお茶の産地として伝統があります。東関街歴史街区内にも、歴史ある茶館やカフェが点在し、レトロな雰囲気の中で本格的なお茶を楽しむことができます。「揚州緑茶」や「碧螺春」といった地元で人気の銘柄は、香りがよくスッキリとした味わい。是非、何種類か飲み比べてみてください。
昔の中国映画に出てくるような、ゆったりとした椅子や木造の内装、赤いランタンが揺れる店内は雰囲気も抜群。お茶だけでなく、軽食やスイーツも楽しめて、旅の合間の休憩にぴったりです。茶館では中国式のお茶の淹れ方を実演してもらえることも多く、地元の人たちと一緒に会話を楽しむのも良い思い出になります。
さらに、地元の茶館では定期的に茶芸表演(お茶の所作を見せるパフォーマンス)や琴や琵琶の生演奏が行われることも。ゆったりとした時の流れに身を任せて、心からリラックスできる時間を過ごしてください。
地元で人気のスイーツやお土産
旅のお楽しみといえば、やっぱりご当地スイーツやお土産。東関街歴史街区には、地元で人気の和菓子的なおやつや、珍しい食品、お茶や工芸品店などショップがたくさん並んでいます。おすすめスイーツは「揚州双黄蓮蓉月餅」や「芝麻糖(ごま糖)」など。どちらも優しい甘さで、疲れた体にぴったりです。
数百年続く老舗の和菓子屋さんが並ぶエリアでは、手作りの伝統菓子をその場で味わうこともできます。「青団」という緑色の和菓子や、「桂花糕」と呼ばれるお花の香りが素敵なお餅風スイーツも、東関街の名物。季節限定のものも多いので、時期を変えて何度も味わいたくなります。
お土産には揚州漆器やカラフルな刺繍、切り絵などもおすすめ。日本への持ち帰りにも便利なパッケージやミニチュアグッズも充実しています。街歩きの合間にお気に入りを探して、自分や家族、友人への特別なお土産をぜひ見つけてください。
5. 旅のヒント&おすすめプラン
おすすめの散策ルート
東関街歴史街区をじっくり楽しみたい方には、ゆっくり2~3時間かけて端から端まで歩くコースがおすすめです。まずは、東関門跡あたりからスタートし、歴史的な建物やお寺を巡りつつ、途中で茶館やカフェに立ち寄りましょう。一つひとつの路地や脇道にも見逃せない小さな工房やギャラリーがあるので、細かくチェックしながら進むのがポイントです。
おすすめのルートでは、午前に人が少ない時間帯にゆっくりと街並みを堪能し、お昼は地元レストランで揚州名物を味わいましょう。午後には博物館や工芸体験にチャレンジし、夕方にはライトアップされた街並みを楽しむプランも素敵。季節によっては、地元のお祭りやイベントも組み合わせてスケジュールを立ててみてください。
また、ガイドツアーに申し込むのもおすすめです。地元のガイドさんが街の歴史や見どころを分かりやすく紹介してくれるので、初めての揚州旅行でも安心。ガイドツアーは英語や中国語が中心ですが、日本語対応のプランも増えてきています。
写真映えスポット紹介
東関街歴史街区は、どこで写真を撮っても素敵な絵になりますが、中でも押さえておきたい「インスタ映え」スポットをご紹介します。まずは、伝統的な木造建築と赤いランタンのコラボ。入口付近や主要な交差点には、美しいランタンストリートがあり、昼と夜で雰囲気がガラッと変わります。
次に、東関帝廟の前の広場や運河沿いの遊歩道も必見です。ここでは、運河と歴史街区が同じフレームに収まるので、揚州らしい写真が撮れます。橋の上から見渡す風景もおすすめで、朝もやや夕暮れ時には、映画のワンシーンのような幻想的な写真が撮れます。
さらに、伝統茶館の内部や、路地の小さな装飾も見逃せません。職人の手仕事が光る彫刻や、壁に描かれた昔ながらの浮世絵風イラスト、可愛らしい猫や街の人々の日常風景など、SNS映えする素材がいっぱいです。旅の思い出だけでなく、家族や友人に自慢できる写真がたくさん撮れますよ。
周辺エリアとの組み合わせ観光
せっかく揚州を訪れるなら、東関街歴史街区と周辺エリアも合わせて観光するのがおすすめです。定番は「瘦西湖(Shouxi Lake)」や「大明寺」など、自然景観と歴史が融合したスポット。瘦西湖は都市中心部からバスやタクシーですぐの距離にあり、美しい湖畔の散策や遊覧船クルーズも楽しめます。
また、揚州の大運河周辺も見応えたっぷり。運河沿いに点在する昔の船着場や倉庫群は、今はおしゃれなカフェやギャラリーにリノベーションされています。地元の人に混じってのんびりお茶やランチを楽しむのも旅の醍醐味です。
少し足を伸ばせば、揚州刺繍博物館や、昔の豪商の邸宅(塩商旧宅)などへの訪問も可能。1日や2日だけでは足りなくなるほど見どころが多いので、日程に余裕を持たせてじっくり揚州の空気を堪能するのがおすすめです。
6. まとめと旅の豆知識
旅をもっと楽しむためのポイント
揚州・東関街歴史街区の旅をより楽しくするポイントはいくつかあります。まずは、朝早くあるいは夕暮れ時の街歩きがおすすめ。観光客が少なくて静かですし、美しい光で街並みがより一層引き立ちます。夏は日中の気温が高いので、帽子や飲み物、日焼け止めなどの準備もお忘れなく。
中国元はもちろん、電子マネー(AlipayやWeChat Pay)が一般的に使えるので、手軽な決済も安心。主要観光スポットやお店では、日本語や簡単な英語が通じることも多いので、言葉の壁をそれほど心配しなくてもOKです。スマートフォンの翻訳アプリを活用すれば、買い物や食事もスムーズに楽しめます。
現地の人たちと積極的に交流するのもおすすめ。お茶を一緒に飲みながらおしゃべりしたり、工房で職人さんと話してみたり、ちょっとした挨拶を交わすだけでも旅の思い出が深まります。レンタサイクルやシェア電動バイクも便利なので、市内移動に使ってみるのも良いでしょう。
日本からのアクセスと現地情報
日本から揚州へのアクセスは意外と便利です。上海や南京へ国際線で到着した後、高速鉄道や高速バスを利用して2~3時間で到着できます。南京禄口空港や上海浦東空港から直行便もあり、揚州市内のホテルは観光エリアや駅に近いところも多いので移動も楽々です。
現地では地下鉄よりもバスやタクシー、レンタサイクルの利用がメインとなります。タクシーも比較的安く利用でき、行きたい場所の中国語表記(スマホに表示させるなど)を見せればスムーズに移動ができます。また、市内の観光案内所では日本語のガイドブックやマップも手に入り、情報収集も簡単です。
両替は出発前に済ませておくのがおすすめ。現地のATMでもキャッシュ引き出しができますが、念のため少し現金を持っていくと安心です。市内の主要観光地では無料Wi-Fiが使えるところも増えており、旅先からSNSへの投稿もストレスなくできます。
揚州旅の思い出を作ろう
揚州・東関街歴史街区は、ただの「古い街並み」ではありません。歩くだけで中国の歴史と文化、揚州の人々の暮らしや美食、アート、そして笑顔に出会える、五感で“旅”を楽しむための場所です。初めての中国旅行にもおすすめできる、やさしくてあたたかい街がここにはあります。
忘れずに写真や動画で記録を残しつつ、地元の人とのふれあい、小さなお土産や体験を持ち帰ってください。帰国してからも、揚州の思い出話や写真でまわりの人たちと旅の楽しさを共有するのも素敵なひとときです。
終わりに、揚州と東関街歴史街区の旅は一回きりではもったいないほど奥深い魅力が詰まっています。季節や訪れる時間によっても街の表情は変わるので、何度も訪れて自分だけの特別な思い出を作ってください。きっと、みなさんの旅がより素敵なものになりますように。
