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   瘦西湖(ショウセイコ) (瘦西湖)

中国東部、江蘇省にある揚州(ようしゅう)は、長い歴史と豊かな文化で知られる街です。その中でも「瘦西湖(そうせいこ)」は、全国的にも有名な景勝地。今回は、揚州の魅力や、瘦西湖のみどころ、周辺のグルメや体験など、観光に役立つ情報をたっぷりご紹介します。旅の計画や中国・揚州への憧れが膨らむきっかけになれば幸いです。

目次

1. 揚州ってどんなところ?

揚州の基本情報 

揚州は東中国の江蘇省中部に位置し、長江と大運河に挟まれた、水と緑が豊かな都市です。南京や上海からもアクセスがよく、高鉄(高速鉄道)を使えば上海から約2時間、南京からはわずか1時間で到着します。人口は約450万人で、都会の活気と昔ながらの風情がうまく調和している街です。

市内は碁盤のように整った街並みと、旧市街の狭い路地が共存。川や湖が多く、庭園や風情ある建築物、静かな運河沿いの景色がいたるところで楽しめます。都会の喧騒とは少し違った、どこか落ち着ける雰囲気が揚州の大きな魅力です。

揚州はまた、古来より物流の要衝として栄えました。多くの詩人や文人が訪れ、彼らが残した詩や歴史的記録も豊富です。現代でも中国国内外から観光客が多く訪れており、多様な文化と歴史が息づいています。

歴史と文化の街として 

揚州の歴史は古く、紀元前の春秋時代にさかのぼります。特に唐代から清代にかけては経済・文化の中心地として発展し、長江大運河の開削や塩の取引などにより大きく栄えました。この地域は詩人・杜甫、李白、白居易なども愛した場所として有名で、多くの歴史的伝説が残っています。

町を歩けば、古い建物や石畳の路地、重厚な門構えの家など、歴史の厚みを感じさせる景色と出会えます。揚州独特の庭園文化は「江南園林」と呼ばれ、世界遺産にも登録されている蘇州園林とも並び称されるほど。日本の茶道や庭園文化にも影響を与えたと言われています。

文化面では、揚州画派や揚州評話ものなど、独自の芸術が育まれてきました。また、書や絵画、美食、そして伝統的な工芸品も多く、まさに「文化の都」と呼ぶにふさわしい土地です。

美食の都としての顔 

揚州と言えば、もうひとつ忘れてはいけないのが「グルメ」です。中国八大料理のひとつ、「揚州料理」は油脂の加減や素材の旨みを生かした繊細な味付けが特徴。お粥や、点心、そして有名な「揚州チャーハン(揚州炒飯)」は、今や世界中の中華レストランで出会う定番メニューとなっています。

特に湖や川が多い地域柄、魚介や淡水魚を使った料理が豊富です。また、上海や蘇州など江南地域と共通する料理も多く、やさしい味わいは日本人の口にもよく合います。中心部や観光地近くには、地元の人気食堂やおしゃれなレストランがたくさん。朝ごはんから夜食まで、食べ歩きには事欠きません。

さらには、点心の「包子(肉まん)」や「湯包(小籠包)」、伝統の「獅子頭(巨大肉団子)」なども有名。旅行好きなら何を食べてもハズレなしと言いたくなる、おいしいものづくしの街です。

2. 瘦西湖ってどんな場所?

瘦西湖の位置とアクセス方法 

瘦西湖は揚州市の西北部、市街地から車で10〜15分ほどの位置にあります。揚州の観光の中心地ともいえる存在で、市内からはバスやタクシー、シェア自転車などでも簡単にアクセス可能です。季節によっては観光シーズンのため混雑することもあるので、早朝や夕方の訪問がおすすめです。

大まかな入場口は「南門」「北門」など複数あり、旅行者は街中心のホテルからでも気軽に散策を始めることができます。公共のバスや観光専用ミニバスも湖まで走っているので、天気がいい日は地元の人と一緒に移動してみるのも楽しみのひとつです。

交通の便が良いため、上海や南京からの日帰り観光地としても人気。高鉄の「揚州東駅」からはタクシーで20〜30分ほど。道路も整備されているので、個人旅行でも安心してアクセスできるスポットです。

湖の名前の由来 

瘦西湖という名前は、かの有名な西湖(杭州)の名前をもじってつけられました。「瘦」はやせている=細長く美しいという意味で、「細くしなやかな江南美人」に例えられることもしばしば。「西湖ほど広くはないけれど、繊細な美しさがあり、まるで詩のような景色」と多くの文人が詠んでいます。

瘦西湖は、もともと大運河の分流によって自然にできた細長い湖。長さはおよそ4.2km、水面は帯状に伸び、湖畔には柳の並木や伝統的な建築が連なります。東西に長く、岸から岸まではそれほど距離がないので、ゆったりと歩きながら風景を楽しめます。

揚州繁栄の象徴として発展した瘦西湖は、詩人や皇帝たちの愛した場所でもあります。康熙・乾隆帝も訪れ、数々の詩や書、物語にも登場。湖の景観や名前には、古来から人々の「美しさ」への憧れと愛情が込められているのです。

シーズン別の楽しみ方 

瘦西湖は四季それぞれ異なる表情を見せるので、どの季節に訪れても違った魅力があります。春は柳が芽吹き、湖畔にはさまざまな花が咲き乱れ、公園全体がやわらかな緑とピンクに包まれます。春には「花祭り」なども開催され、地元の人も観光客も一緒になって賑わいます。

夏は新緑が美しく、湖面に映る木陰が涼しげ。観光ボートでのんびり湖を巡るのもこの季節ならでは。暑い日には、日陰の小道や茶館でひと休みするのがおすすめです。湖沿いの木漏れ日や涼しい風が、夏の散策にぴったり。

秋になると、紅葉やススキ、芙蓉(フヨウ)の花などが湖畔を彩ります。空気が澄みわたり、朝や夕方には黄金色の光が水面に映ってとてもロマンチック。冬はやや閑散としますが、澄んだ空気とともに静かな湖を独り占めできる贅沢な時間が流れます。カメラ好きや心静かに過ごしたい人には、意外と冬もおすすめです。

3. 見どころ

五亭橋:湖上のフォトスポット 

五亭橋(ごていきょう)は瘦西湖の中でも特に有名な建築で、湖に5つのパビリオン風の屋根が並ぶ姿が印象的です。この独特なデザインは、清の乾隆帝が好んだものと伝えられ、橋からは湖と周囲の緑、さらに遠くの白塔などの絶景を眺めることができます。どの角度から写真を撮っても絵になるので、観光客の記念撮影には欠かせないスポットです。

早朝や夕方、湖面にミストが立ち込める時間帯はまさに絶景。水面に映る五亭橋のシルエットと朝焼け・夕焼けの色合いが、まるで絵画のような雰囲気を醸し出します。また、橋の上を歩けば、屋根ごとに異なる小さなパビリオンに入ることができ、それぞれの造形細部も見どころ。

五亭橋はまた、地元の人にとって憩いの場でもあります。休日には橋のたもとで楽器を演奏したり、伝統衣装で写真撮影している人にもよく出会います。ゆっくりと歩きながら、橋の上や湖岸からの眺めを堪能してみてください。

白塔:歴史感じるランドマーク 

白塔(はくとう)は瘦西湖の北側に立つ真っ白な仏塔で、堂々とした佇まいが湖のランドマークとして有名です。もともと唐代に建てられたものが起源とされ、現在の塔は明代以降に再建されたもの。石造りで八角形の美しいフォルムは、遠くからでもひときわ目を引きます。

白塔は内部に入ることはできませんが、周辺には遊歩道や展望スペースがあり、湖や庭園とともに塔を眺める絶好のポイントになっています。春から夏にかけては塔の周囲に花が咲き、塔の白さがより一層際立ち、写真映えも抜群です。

また、白塔の麓には詩碑や古代の石刻も残されており、歴史好きにはたまらないコーナー。詩人たちが塔を題材に詠んだ詩が多く、案内板などでその一部を読むこともできます。散策の合間に、ぜひ思いを馳せてみてください。

二十四橋:ロマンティックな夜景 

瘦西湖の南側に架かる二十四橋(にじゅうしきょう)は、白い玉石を使ったアーチ状の美しい橋です。その名の由来には諸説ありますが、唐代の有名な詩人・杜牧が「二十四橋明月夜 玉人何処教吹簫」と詠んだことにちなんでいます。橋の上からは静かに流れる湖水と風情ある湖畔の柳、花々が楽しめます。

二十四橋の名物は何といってもそのロマンティックな夜景。周囲にライトアップが施されると、水面に映る橋のシルエットが浮かび上がり、まるで夢の世界。夕暮れや満月の日にはカップルや地元の家族連れがゆっくりと散歩し、とても穏やかな時間が流れます。

昼間には橋のたもとで花売りや写真屋さんが営業していたり、時折伝統楽器の演奏イベントがあることも。撮影スポットとしても非常に人気があり、ドラマや映画のロケ地にもなっています。昼夜問わず足を運び、違った雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか。

春の花祭りと文化イベント 

瘦西湖の春と言えば、何といっても花祭り。3月下旬から4月にかけて園内あちこちで色とりどりの桜、桃、菜の花、牡丹などが一斉に咲き誇ります。この季節には多くの地元住民や観光客が訪れ、お花見をしながら湖畔を散策するのが恒例です。

花祭り期間中は、園内の主要スポットがライトアップされることも多く、昼夜で違った景観を楽しめます。また、伝統的な楽器演奏や書道の実演、地元アーティストによる展覧会なども開催され、中国文化に触れ合う絶好のチャンスです。中国茶の無料試飲コーナーも人気ですよ。

さらにこの時期限定の屋台グルメや、季節の花を使ったおみやげ物も売られていて、散策中のお楽しみがいっぱい。まさに一年で最も華やかな瘦西湖を体験できるおすすめのシーズンです。

4. グルメ&周辺の楽しみ 

瘦西湖風味の名物料理 

瘦西湖周辺では、その名を冠した「瘦西湖蓮子湯」や「瘦西湖鴨舌」など、ここでしか味わえないユニークなメニューが豊富です。蓮の実や湖の魚、地元で採れる野菜を使った料理は、どれも素朴でやさしい味わい。特に春から夏にかけては「蓮の実スープ」が人気で、日本人にも馴染みやすい味です。

湖畔のレストランやカフェでは、「揚州炒飯」「揚州獅子頭(巨大肉団子)」「蟹味噌とろみスープ」など本場ならではの一品を堪能できます。日本の中華料理店では味わえない、絶妙な甘みや香り、素材そのものの良さが感じられるのも魅力です。

また、朝ごはんとしておすすめなのが「油条(揚げパン)」と「豆乳」のセットや、「小籠包」「糯米団子」など。観光途中で立ち寄れる食堂や食べ歩き屋台もたくさんあるので、ぜひローカルグルメを試してみてください。

周辺の茶館でひと休み 

湖畔や周辺エリアには、伝統的な中国茶館がたくさん点在しています。古風な建物や緑あふれる庭に囲まれた茶館で、中国茶をゆっくり楽しむ時間は旅の至福のひととき。とくに「碧螺春」「龍井」など緑茶系は、香りもよく、地元でも人気です。

茶館では、茶葉の種類やいれ方についてスタッフが丁寧に説明してくれるので、初めての方も安心。お茶菓子や現地のおやつとともに、伝統的な茶芸を間近で見られることもあります。朝の静けさを味わったり、午後の散歩の合間にふらりと立ち寄ったりするのがおすすめです。

ときには茶館で地元の人と茶飲み話に花を咲かせることも。日本の茶道と通じる文化も感じながら、心や体がほっと温まるひとときを過ごせます。疲れたら、迷わず茶館で癒されてくださいね。

伝統工芸品のショッピング 

瘦西湖周辺には、揚州独自の伝統工芸品を扱うお店が軒を連ねています。特に有名なのが「揚州漆器」「揚州玉彫」「揚州紙切り」など、中国らしい色使いや精緻な細工が光る逸品ばかり。お土産としても自分用にもぴったりです。

また、現地のマーケットや工芸品店では職人さんが実演していることも多く、作り手と直接お喋りできるのも旅の思い出になります。「書画」や「竹細工」「伝統楽器」など、見ているだけで楽しいものがたくさん並んでいます。

値段もピンからキリまでありますが、小さなアクセサリーや置物なら気軽に買えるものも多いので、お土産探しも兼ねて覗いてみましょう。日本では手に入りにくい品も多く、旅の記念にきっと思い出深い一品が見つかるはずです。

5. おすすめの歩き方&体験 

ボートで湖の魅力を満喫 

瘦西湖の楽しみ方と言えば、やっぱり遊覧ボート!園内の複数の桟橋から、手漕ぎボートやモーター付きの小舟に乗ることができます。水上から眺める緑や歴史的建築、橋のアーチは、歩いている時とは全く違った美しさ。小さな波に揺られながらゆっくり進むので、リラックスできるひとときです。

特に春や秋の気候の良い日は、ボートから見る柳や花々、五亭橋や白塔の姿がとても美しく、絶好のフォトチャンス。人数や時間によって選べるボートも多く、カップルやファミリー、小グループでも楽しめます。

また、夕方にはサンセットクルーズも人気で、湖面に映る夕焼けや夜景を水上からじっくり堪能できます。週末や祝日は混みあうこともあるので、できれば午前中や夕方の早い時間帯を狙うといいでしょう。

写真好きにおすすめのスポット巡り 

瘦西湖はフォトグラファーにとってもパラダイス。五亭橋、二十四橋、白塔などランドマークはもちろん、湖畔に並ぶ柳や桜、小さな東屋や石橋、趣のある小径など、絵になる風景にあふれています。四季折々で色や光が変わるので、同じ場所でも何度でも写真を撮りたくなるはず。

おすすめの撮影タイミングは早朝か夕方。特に霧がかった朝は幻想的な写真が撮れることも。逆光や水面の反射を活かしたアングル、伝統衣装やカップルのシルエットなど、まるで中国古典絵画のような1枚が狙えます。

また、現地では伝統衣装をレンタルできるサービスもあります。衣装に着替えて湖畔や庭園で写真を撮れば、旅の思い出もひときわ華やか。写真が好きな方は、ぜひスマホやカメラを片手にお気に入りスポット巡りを楽しんでください。

癒しの庭園散策コース 

瘦西湖の周辺には、揚州ならではの「江南庭園」がいくつも点在しています。石畳や竹垣、池の上に浮かぶ東屋、巧みに配置された庭石や花木――どこまでも心を落ち着けてくれる景観です。ひとつひとつ異なる趣があり、建物と調和した自然の美をじっくり堪能できます。

いくつかの庭園では季節ごとに花の展示や盆栽展、書画展なども行われ、伝統的な文化体験も可能。人が多いところを避けて、園内の静かな回廊や裏庭をのんびり歩くのもおすすめです。

観光でちょっと疲れた時には、庭園のベンチに腰掛けて、湖風や鳥のさえずり、緑の香りに身をゆだねてみてください。自然とともに、心とカラダもリフレッシュできます。

6. 訪れる前に知っておきたいこと 

お得な入場券情報 

瘦西湖の入場料は季節やイベントによって変動がありますが、基本的には大人60〜90元前後。身分証や学生証を提示すると割引を受けられる場合もあります。また、ウェブサイトやWeChatの公式アカウントから事前に電子チケットを購入すると、列に並ばずにすむことがあるので便利です。

観光ピーク期や春の花祭り、特別イベント期間中は、セット券やナイトチケットなど割安なパッケージも販売されています。周辺庭園や他の有名スポットとの共通券もあるので、複数の観光地を回りたい人は要チェック。

現地での購入もできますが、入場待ちの行列に並ぶことがあるため、特に週末や祝日は事前予約がベターです。公式サイトから日本語による予約も対応している場合があるので、出発前に情報収集してみてください。

観光時の注意ポイント 

瘦西湖周辺は一年を通して観光客でにぎわいます。特に春と秋のピークシーズンや中国の大型連休「ゴールデンウィーク」時期には、入場や施設利用が混み合うので、時間に余裕をもって行動すると安心です。トイレやレストエリアも混雑するため、早めの休憩やこまめな水分補給を心がけましょう。

園内はかなり広いので、歩きやすいスニーカーやサンダルでの訪問がおすすめです。また、湖畔は風が強くなることもあるので、春や秋は薄手の上着を持参すると快適に過ごせます。夏は日差しが強いので、帽子や日焼け止め、虫除けグッズもお忘れなく。

中国語がわからなくても大きな支障はありませんが、路線バスやレストラン、施設券売所では簡単な英語・漢字表記が通じます。不安な場合は、翻訳アプリや筆談メモなどを用意しておくとより安心です。

地元の人との交流のコツ 

中国の方は日本人観光客にもフレンドリー。瘦西湖周辺では写真撮影時に声をかけてくれたり、おすすめの見どころやお店を案内してくれることもしばしばです。地元の人と仲良くなりたいときは、まずは「你好(ニーハオ)」の挨拶から始めてみましょう。

また、「揚州のおすすめ料理は?」「好きな観光地は?」など簡単な質問をしてみると、とても親切に答えてくれます。笑顔と言葉での交流は、旅の何よりの思い出に。ときどき日本のアニメや文化について質問されることも多く、日本語を勉強中の学生さんもいますので、気軽に会話を楽しんでみてください。

現地のマナーとして、大声で騒がない、列にきちんと並ぶ、ごみは持ち帰るなど、基本的なルールを守ればOK。旅先の交流が、きっと揚州滞在をもっと楽しく、心豊かにしてくれるはずです。

終わりに 

揚州の瘦西湖は、歴史・文化・美食・風景がぎゅっと詰まった、まさに中国を代表する観光地です。どの季節に訪れても新しい発見と驚きがあり、日常を忘れてゆったりとした時間を過ごせます。今回の記事を参考に、ぜひ一度、ご自身の目と心でその魅力に触れてみてください。

グルメな人も、カメラ好きも、歴史探訪派も――どんな旅スタイルにもぴったりな瘦西湖。次の旅行先が決まっていない方は、「中国・揚州」で癒しとワクワクに満ちた一日を過ごしてみてはいかがでしょうか。あなたの旅が素敵なものになりますように。

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